三井不動産、トヨタ不動産、読売新聞グループ本社の3社を中心に、2024年12月に設立した築地まちづくりは、「築地地区まちづくり事業」を推進するための基本的な考え方や施設の整備方針などを示した基本計画を策定し、発表した。
有識者、東京都、事業者で構成する「築地地区まちづくり事業マネジメント会議」での意見を踏まえ、事業提案時より計画の一部を更新した。「扇」をデザインモチーフとした、東京の新たなアイコンとなる景観を形成。また、基本計画の発表に合わせて「築地まちづくり公式ウェブサイト」を開設した。

基本計画のポイント
「ONE PARK×ONE TOWN(ワンパーク ワンタウン)」
自然と都市の活動の2つが共生・調和・発展し、社会的価値を創出するまちづくりを目指す。

ONE PARK(ワンパーク)
隅田川や浜離宮恩賜庭園と一体的に緑地・広場を整備し、水と緑豊かな空間を創造する。築地は江戸期より交易・交流の拠点として発展を遂げ、隅田川は豊かな水辺を生かしたにぎわい・交流の舞台として江戸の風景を形成してきた。同地区の歴史的変遷や立地特性を踏まえながら、東京の新たな顔となるシンボリックな景観デザイン、多様な活動・にぎわいを創出する水辺のオープンスペース、周辺資源と調和するプロムナード・緑化、舟運の活用により、「水都東京の再生」 を推進する。
「水都東京の再生」に関する4つのテーマ(イメージパース)


ONE TOWN(ワンタウン)
銀座から続く文化・芸術の流れや、築地場外市場の食文化、新橋・汐留のビジネス拠点、計画地に隣接する医療施設などとの連携により、交流と感動、イノベーションを起こす都市の活動を表現。同地区の歴史的変遷や立地特性を踏まえ、大規模集客・交流機能、迎賓・ホスピタリティ機能、築地場外市場と連携した日本の食文化を継承・発展させる機能、周辺医療施設と連携しイノベーションを創出する機能など、「国際競争力の強化」に資するまちづくりを推進する。
「国際競争力の強化」に関する4つのテーマ(イメージパース)


デザインモチーフである「扇」を用い、東京の新たな玄関口となる象徴的な景観を創出
かつての築地市場は貨物列車を引き込むために扇形状の建物だったという歴史的文脈に加え、調和や末広がり、繁栄の願いを込めた「扇」をデザインモチーフとして用いて「陸・海・空」の視点から象徴的な景観を創出。

陸・海・空のモビリティが乗り入れ可能なモビリティハブの形成
地下鉄新駅、バス・タクシーなどに加え、次世代モビリティ、舟運、空飛ぶクルマやヘリポートなど陸・海・空の多様なモビリティをつなぐ広域交通結節点を形成。さらに、にぎわい機能や情報発信などの付加価値を高める機能を導入し、モビリティハブの形成を目指す。

エリアマネジメント・運営維持管理・都民などへの情報発信
オープンスペースを含め、計画地に導入される機能などが街区全体で一体的・効果的に発揮されるための適切な管理・運営や、地域のにぎわいの創出、統一的な街並み景観の誘導などを目的としたエリアマネジメントを計画。さらに、ウェブサイトを通じた情報発信も充実させる。
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