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“次世代のポーター”が語る「競争優位の構築と持続」

ニコライ・シゲルコ教授/「WGF東京2013」レポート:第3回

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模倣の難しさ:コンチネンタル航空の対抗例

 コンチネンタル航空は、コンチネンタル・ライトという子会社を作り、サウスウエストを模倣して自社ハブアンドスポークシステム内での2時点間直行路線、機内食なし、運航頻度増加、空港での折り返し時間短縮、料金引き下げなどを実施した。コストは、旅行代理店手数料引き下げ、マイレージサービスの更新終了などで削減した。

 一方で、母体のフルサービス事業は維持し、複数の機種を保有、接続便への荷物積み替え、座席指定は維持した。

 結局、コンチネンタル・ライトは運航中止や遅延が続発、苦情が殺到した。サービスの悪化により、顧客は他社へ乗り換え、旅行代理店も離れてしまった。料金面ではサウスウエストに対抗したが、コスト面ではかなわず、莫大な損失を出してCEOは解任に追い込まれた。フルサービス航空各社は、こぞって格安航空セグメントへの参入を図ったがいずれも失敗している。

「システムの複雑性」が模倣を防ぐ

 サウスウエストは、フルサービスとの徹底的な差別化を図り、格安航空サービスが成立する、諸活動からなる活動システムを構築した。活動システム内の個々の活動間の相互作用は、以下の2つの効果をもたらす。

複雑性を生む

  • システム全体の模倣は部分的模倣より困難である
  • 部分的模倣の価値が低くなる

複雑性を生む

  • 既存事業との矛盾や不一致が起こるため、模倣への意欲を低下させる
  • 既存事業と新規事業の両にらみは、コストがかかる(企業の評判の混乱、社内の調整や管理の限界など)

 サウスウエストの成功は、「独自の活動システム全体」にあった。しかし、コンチネンタルは、部分的模倣により、既存事業と新事業の間に不整合を生み出してしまった。

 他社による模倣を困難かつコストがかかるものにする「トレードオフ効果」は、競争優位を維持するには不可欠である。戦略的にトレードオフの役割が大きい理由は、「しないことを選択する」ことが「するべきことを選択する」こととまったく同様に重要だからである。実は、これは企業にとっては非常に難しい。

 組織のインセンティブシステムが、ノーと言った社員にボーナスを出すように設計されていることは稀だし、企業は、あれをしたらこれはできないというトレードオフを認めたがらない。あれもこれもできると思いたいのだ。

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企業のポジショニングを検討するために役立つコンセプト

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