米国のベンチャー投資は日本の40倍
NVCA(National Venture Capital Association:米国ベンチャーキャピタル協会)の報告によると、2014年(1月~12月)のベンチャーキャピタルによる投資金額(VC投資金額)は493.1億ドルでした(図1)。この金額は、2000年以降の記録では最高額です。過去4年間は250億ドル~300億ドルで推移してきましたが、2014年は前年に比べ65%近く増えています。しかし、投資先件数は前年と比較して3%程度の伸びにとどまっています。このことから、1件あたりの投資金額が大型化していることがうかがえます。
2014年は、スマートフォンを使った配車サービスUberを展開するウーバー・テクノロジーズが24億ドルを超える資金調達を実施しました。宿泊仲介サービスのAirbnb, Inc.が4億ドル以上、写真共有サービスのSnapchatも5億ドル近い資金を集めています。ちなみに、日本では、金額が公表されている調達案件としてはgumiが調達した50億円(0.47億ドル:1ドル=106円換算)が最高額でした。
日本のVC投資金額(2014年4月~2015年3月の投資金額1,171億円≒約11億ドル:1ドル=106円換算)と比較すると、米国の投資金額は約40倍の水準に達しています。
なお、NVCAの調査と日本(一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンター=VEC)の調査では、図2に示すとおり集計範囲が異なります。VC投資の総額を算出する際、NVCAの場合、国外への投資は集計の対象外です。VECの場合、国外への投資も集計に含めています。逆にNVCAは、国外から米国内への投資を集計に含めていますが、VECは国外から日本国内への投資を集計対象外としています。そのため、比較をする際には注意が必要です。
VECの調査のうち、日本国内向けの投資金額(2014年度)は740億円(7億ドル:1ドル=106円換算)でした。この金額と比較した場合は、70倍の開きがあると言えます。NVCAの調査には国外からの投資が含まれているため、厳密に基準を揃える場合、この数値よりは開きが小さくなると考えられます。