日本のベンチャーの海外展開とその行き先
一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンター(VEC)は毎年、ベンチャー企業に対して、経営環境等に関するアンケート調査を実施しています。2015年の調査では、277社のベンチャー企業から回答をいただきました。ベンチャー白書では、回答企業のうち設立5年以内の企業269社からの回答を対象に集計しています。(図1)
回答企業269社の中で、ベンチャーキャピタル(VC)から出資を受けている企業は94社、出資を受けていない企業は175社でした。ベンチャー白書では、単純集計のほか、VCからの出資の有無によって回答の傾向に差があるかどうかという観点で分析しています。
海外志向のベンチャー企業は、全体の80%
アンケートでは、海外展開の状況について聞いています。すでに海外展開(販売・調達)をしている企業は、回答企業全体の24.9%に達し、そのうち海外拠点がある企業は9.3%でした。また、「今後、海外展開をする計画がある」という企業を含めると、海外展開に積極的な企業は全体の80%近くに達しています。また、VC出資の有無で比較した場合、すでに海外展開をしている割合は両グループでほとんど差はみられませんでしたが、海外拠点がある企業については「VC出資あり」の方が「VC出資なし」に比べ割合にして約2倍多いという結果が出ました。
すでに海外展開をしている企業の展開先の地域(図3)は、アジアがもっとも多く、「中国」「東南アジア」「その他アジア」を合わせたアジア全体で47.1%を占めています。なかでも「東南アジア」の割合がもっとも高くなっています。
VC出資の有無で比較した場合、「VC出資あり」ではさらにアジアの占める割合が多く(59.2%)、「VC出資なし」の42.0%に比べその比率は約1.4倍に達しています。近年、ベンチャー投資の市場としてアジアが注目されているため、VCから出資を受ける企業のアジアへの進出は今後も伸びていく可能性があります。