今回もまず区分をおさらいしてみます。 スタートアップがX、非公開(未公開)企業がY、上場企業がZとし、事業展開に活用するケースがA、事業計画がB、プロモーションがCです。 前回はスタートアップが事業計画にバズワードを活用するケース、X-Bについて見てみましたが、今回は上場企業について見てみます。
IPOとは「最初の公募」の意味
さて上場企業というのはなんでしょうか? 株式市場に自社の株式を公開している企業のことです。 ですので公開企業という呼ばれ方もします。 ちなみにIPOというのは新規株式公開(Initial Public Offering)のことです。 つまり公募の第一回目だけIPOという呼び方で、それ以降の公募はIがなくなってPOですが、IPOにくらべてPOというのは日本ではあまり聞きません。
では、何のために株式を公開するのかというと、それは本来の目的は一つで「市場資金調達」を可能にするためです。 この場合の市場というのはもちろん株式市場のことです。 つまり、株式を新規発行することで資金を調達することを可能にするのが、最大の目的です。 もっというと市場から資金を調達する必要がなければ株式公開する必要はないということです。 有名所でいうとサントリーなどは未公開の大企業の代表格です。 リクルートもでしたが、こちらは最近になって株式公開に舵を切りました。
会社の通信簿=決算書だけでは「事業実態」は伝わらない
資金調達をするために株式を公開するのですから、同じ事業実体であればなるべく高い企業評価をしてもらうことが重要です。 企業の評価価値が高ければ同じ資金を調達するのに発行する株式の数が少なくてすみます。 株式の新規発行によって既存の株主は会社の所有比率が下がるためこれを希薄化(dirution=ダイリューション)と呼び嫌がられることも多いですが、そのためにも希薄化のボリュームが少ないことが好ましいといえます。
さて同じ事業実体に対してなるべく高い企業評価をしてもらうための取り組みをIR(インベスターリレーションズ)といいます。 企業にとっての通信簿とも言えるものが決算書ですが、投資家が決算書から内容を十分に汲み取れるとは限りません。 真面目に企業経営している人なら誰でも、「事業実態というのは伝わらない」と感じているのではないでしょうか。 一般投資家はもちろん、専門家ともいえる機関投資家にとっても、本当の意味での事業実態を理解するのはかなり至難の業です。