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ISO56000シリーズの誤解と本質──効率経営からイノベーション経営へ移行する組織デザインとは?

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 イノベーション・マネジメントの国際規格であるISO56000シリーズの認証規格であるISO56001が2024年9月10日に発行された。一般社団法人Japan Innovation Network(JIN:ジェイアイエヌ)は、日本で唯一の国内審議団体として、国際標準化機構(ISO)が2013年から進めてきたISO56000シリーズの審議に参加している。国内の審議委員会を運営し、委員会で合意された案をもって日本代表として国際交渉に取り組み、ISO56000シリーズの各規格の形成に貢献してきた。今回は、多くの方々の関心を集めているIMSの状況について報告と提言を行いたい。

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ISO56001によるイノベーション経営システムの時代の本格的幕開け

 ISO56001が発行された2024年は、いわばイノベーション経営システムの時代の幕開けの年であるが、ではなぜISOが重要なのか。単に国際規格だから日本も従うべきだから重要だ、という短絡的な見方ではなく、世界や日本の状況から見てどうなのか。

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資料提供:一般社団法人Japan Innovation Network/クリックすると拡大します

 今、世界中の企業経営者がイノベーションこそが成長のエンジンであることを認めている。ある調査によれば、8割近くの経営者はイノベーションを戦略上の最重要事項に掲げている。一方、そのための手立てとなると模索中というのが、地域や規模を問わず、基本的な傾向である。

 これは日本においても同様だ。新規事業部門や出島組織、それらに類する場を作った企業も多い。外部の力を借りるなどして事業はいくつか立ち上がったものの、PoC止まりであり事業化以降の伸びしろがない。むしろこうして生まれた事業をいかに整理統合するかといった悩みを聞くことも多い。

 根本的な原因は、これまでの経営システムを変えずに新規事業を開発していることに起因する。そのことが全体としての方向性をバラバラにし、組織的なエネルギーを分散し、資源の適切な配分がなされないことの大きな要因になっている。

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資料提供:一般社団法人Japan Innovation Network/クリックすると拡大します

システマティックなイノベーションとは?

 こうした点を考慮しつつ、現場の新たな価値創造活動を支える様々な機能や資源の体系化を行うのがイノベーション・マネジメントシステム(IMS)の基本となる。その際にISO56000が有効に活用できる。

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資料提供:一般社団法人Japan Innovation Network/クリックすると拡大します

 鍵になるのは「システマティックなイノベーション」という考え方である。これはイノベーション活動を規範的、流れ作業的に行うということではない。逆に、効率性を追求する組織の中でいかに試行錯誤を伴う創造的活動を組織的に行えるかを追求する活動のフレームとなるのだ。

 また、「システマティックなイノベーション」とは、既存の組織とは離れたところでイノベーション活動を部分的に行うことを意味するものでははない。「インベンション(発明・技術革新)とイノベーション(価値実現)を分けろ」という主張がある。当然インベンションは重要であるが、それだけでは最終的に市場や顧客に価値を届けられないためイノベーションにはならない。したがって、研究開発とともにイノベーションを行わなければならない。

 しかし一方で、従来強いとされてきた日本のインベンション(研究開発)の勢いも弱まっている。インベンションの側にもイノベーションのためのアントレプレナーシップが要請されているのだ。イノベーション活動(I)とそれを効果的に行うイノベーション・マネジメント(IM)、そして持続的に反復可能性を志向して構築するイノベーション・マネジメントシステム(IMS)はそれぞれ異なり、それぞれが必要である。

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資料提供:一般社団法人Japan Innovation Network/クリックすると拡大します

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この記事の著者

紺野 登(コンノ ノボル)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

尾﨑 弘之(オザキ ヒロユキ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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