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5年後の未来を読み解く3つの視点――「越境」「未来シナリオ」「トライブ」とは?

 6月4日、博報堂DYグループ内シンクタンク「SEEDATA」が主宰するオンラインサロン「イノベーターズ・ジャーニー」のキックオフイベントが開催された。HEART CATCH代表/SENSORS.jp 編集長の西村真里子氏、博報堂 イノベーションディレクターの岩嵜博論氏、SEEDATA CEOの宮井弘之氏が登壇。各々の未来観について「働き方」や、ミクロ/マクロの両視点から読み解く「世の中のトレンド」という視点から語った。

[公開日]

[講演者] 西村 真里子 岩嵜 博論 宮井 弘之 [取材・構成] 岡田 弘太郎 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] ワークスタイル 事業開発

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未来の働き方のキーワード「越境」とは?

 未来の生き方や働き方はどう変化するのか。西村氏が考える、未来の働き方の鍵は「越境する悦楽」にあるという。西村氏はIBM、Adobe、Groupon、Bascule、そしてHEART CATCH起業に至るまでにエンジニア、マーケッター、プロデューサーと様々な職種を経験。その過程で「肩書き」に対して疑問を感じるようになった。

西村真里子西村真里子氏(HEART CATCH 代表取締役)

HEART CATCHを起業するまでサラリーマンだった私には、会社が「肩書き」をつけてくれていました。でも今は、社会に対してたった一人で対峙する中で「肩書き」も自分でつけなければいけない。そう考えた時に、「肩書き」は非常に堅苦しいなと感じたんです。「肩書き」に自分を当てはめてしまうことが、自分のできることを狭めてしまうんじゃないかと。なので、自分にふさわしい会社を世の中から探すよりも、自分でつくってしまったほうが早いなと感じてHEART CATCHを起業しました。

 様々な職種を経験してきた西村氏は、常に「越境」を意識してキャリアを歩んできたという。全くフランス語ができない状態でフランスに留学したり、文系大学から新卒でエンジニアとして就職したりと、あえて今までと異なる環境に飛び込んでいった。

人間が成長するためには「挑戦」が必要なのに、人間ってある程度キャリアを積んでしまうと、今ある環境の中では挑戦がしにくくなってしまうんですね。なので成長するためには今までとは違う仕事をしたり、違う仲間を見つけたりすることが大切だと思っていて、いかに今いるところから遠くに行けるかを意識してきました。その「越境」を楽しめる人が新しい未来をつくっていける。新しい場所に行くのは怖いかもしれないけれど、そのジャンプを楽しみたいと思って、私は「越境する悦楽」と呼んでいます。

 さて、西村氏の持つ「越境」の視点から広告会社を読み解くと、面白い事例が見えてくる。デジタル系の広告会社R/GAが運営するアクセラレータープログラムだ。広告会社が自身の枠組みをこえ、IoTやコネクテッド・デバイスといったテーマで、スタートアップとともに事業共創に取り組んだ事例だ。西村氏はアメリカでこの「越境」の事例を目の当たりにし、デザインとマーケティングの力でスタートアップを支援する「HEART CATCH 2015」というアクセラレータープログラムを開催するに至る。

R/GAも広告会社という殻を破ったからいま世界で注目されていますし、21世紀において自分の殻や専門をつくりすぎてしまうのは不利だと思っています。それよりも、自分は何が好きか、どういった生き様なのかが大切になってきます。

 最後に、「越境の時代」にはどのようなスキルセットが求められるようになるのか。西村氏が「HEART CATCH 2015」のプログラム運営で感じたのはファシリテーションの力だという。デザイン、マーケッター、スタートアップなどの異なる職種と対話しながら彼らをつないでいくファシリテーターこそ、これからの時代に最も求められる職種かもしれない。

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