自社ではコントロールできない6つのマクロ要因(PESTLE)
1つ目は、「マクロ影響要因」です。前述したとおり、マクロ影響要因とは、単独の事業体ではコントロールすることができないマクロ的な要因を指します。マクロ影響要因を洗い出すために、「PESTLE」と呼ばれるフレームワークを使って分類していくことが役に立ちます。PESTLEとは、「政治」、「経済」、「社会」、「技術」、「法律」、「環境」の英単語の頭文字から取ったものです(PESTLE自体は、すりこぎを意味)。
さらに、時間枠、ダイナミクス、タイプ、潜在的影響度という観点からも整理しておくと便利ですね(図5)。もちろん、これらの属性の定義は予測に基づくものです。
PESTLEの具体的なサンプルを取り上げてみました(図6)。あらゆるビジネスにとって非常に重要な要因もあれば、特定の業界に対して非常に大きなインパクトを与える可能性がある要因もあろうかと思います。
ところで、これらの6つの要因は各々が独立して存在しているのではなく、相互依存関係にあることが多いことは感覚的にもお分かりになると思います。たとえば、いくつかの経済要因同士が相互に作用している(内部依存関係)、社会要因が法律要因に作用している(外部依存関係)、政治要因と経済要因が相互に作用している(フィードバック関係)場合があります(図7)。
ビジネス計画は将来に向けたものですから、これらの要因の関係を読み解き、今後起こりうるいくつかのシナリオをビジネス計画の期間に沿って考えることも重要です。
自社ビジネスに直接影響を与える6 Forces
2つ目の外部影響要因は、「ミクロ影響要因」です。ミクロ影響要因は、マイケル・ポーター教授の提唱した5フォース(業界内部のライバル関係、売り手の交渉力、買い手の競争力、新規参入の脅威、代替製品やサービスの脅威)、それとインテルの創業者の1人であるアンドリュー・グローブ氏が提唱した補完事業者を加えた6つの種別に分類することにします。マクロ影響要因と同じく、時間枠、ダイナミクス、タイプ、潜在的影響度を加えておくと役に立ちます(図8)。
5フォースについては、あらゆるところで説明されていますので、ここでは英国の戦略コンサルタントであるトニー・グランディ氏による5フォースの拡張解釈をベースとしてご説明をしていきましょう(図9)。グランディ氏は、5つの力関係の間、各々の内部関係においても相互作用が働いていることを指摘しています。
たとえば、図9は以下の作用が働く可能性があることを示しています:
- 買い手と新規参入の間で、買い手は積極的に新規参入者を歓迎し、それによって参入障壁を低くするかもしれない。
- 買い手と代替オファーの間で、買い手は積極的に代替オファーを探索し、それによって同じやり方で代替オファーを利用するようになるかもしれない。
- 新規参入と売り手の間で、新規参入者は売り手の買収や戦略アライアンスによって、後方統合による市場参入を狙うかもしれない。
- 代替オファーと売り手の間で、売り手は代替オファーを支援することによって、既存の業界プレイヤーを飛び越えて新しいビジネスを狙うかもしれない。