今後の日本の成長戦略の鍵、「モノづくり」の成長戦略は描けるのか?
開会の挨拶には、米国オートデスク社でアジア太平洋地域担当を務める上級副社長 パトリック・ウィリアムス氏が登壇し、「本カンファレンスではAutodeskの最新のテクノロジーを紹介し、専門家や先進的なリーダーの話を聞くだけでなく、同業者同士がつながり合うすばらしい場です。ぜひともお互いの知識や経験を共有してもらい、ともに充実した時間を過ごしてほしいと思います」とカンファレンスに対する期待を語った。
「Autodesk University Japan」は10年目を迎え、Autodeskの日本での事業展開は33年になる。その間、Autodeskでは、エレクトロニクスや自動車業界といった製造業を中心に、多くの日本企業をサポートし、顧客との関係を深めてきた。そして、日本が強みとする“モノづくり”を基盤として新しい業界へサービス提供を拡大し、「4年間で1.3兆ドルの収益、47万人の雇用創出を目標」に掲げる日本政府が推進する「経済拡大戦略」に則り、Autodeskもさらなる成長・拡大に貢献しようとしているという。
そのモノづくり企業への貢献事例の1つとして、日本屈指の自動車メーカーであるホンダの1人乗りのコミューターEVが紹介された。そのパートナーである株式会社カブクでは、3D CAD「Fusion 360」を使用して設計・制作を行っている。ウィリアムス氏は、「このプロトタイプを作成するのにかかった時間はわずか2ヶ月。それによって何十万ドルものコストを削減しています。まさにモノづくりの未来を先取りして象徴するといえるでしょう」と語った。
続いて、オリンピックに向けた再生事業の1つとして、東急グループが中心となって取り組む渋谷駅の交通・商業施設の大型再開発が紹介された。プロジェクトの課題として、事業規模の大きさもさることながら、各種既存サービスを提供しながら並行して工事を行う難しさがある。その課題を解決するべく、「UiM(アーバン・インフォメーション・モデリング)」というコンセプト/ワークフローが採用され、複数のAutodeskのツールやソリューションが活用されているという。
Autodesk製品の活用は製造業・建設業などのほか、メディアやエンターテイメントにも及んでいる。たとえば、日本の主力コンテンツともいえるアニメ界では、昨年大ヒットした「君の名は。」で製作を担った株式会社コミックス・ウェーブ・フィルム (CoMix Wave Films Inc.)がAutodesk の「3ds Max」を採用している。特に冒頭シーンの風景の複雑さはその高度なテクノロジーがあって実現したといっても過言ではないという。
ウィリアムス氏は「この10年間の間、東京ではこれまでにない変革が起き、今後も継続していくでしょう。それは今後の成長の第一歩であり、創造の未来の到来を告げるものです」と語り、カンファレンスの幕開けを行った。