Autodeskとカブクが語る、「モノづくりの民主化」を加速させる3つの技術と持続可能性

Autodesk University Japan 2017 セミナーレポート

[公開日]

[取材・構成] 伊藤 真美 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] AI・機械学習 ロボット プロトタイピング 事業開発 ドローン 3Dプリンティング アーバン・インフォーメーション・モデリング サステナブルデザイン アディティブ・マニュアファクチュアリング

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“ものづくりの民主化”という破壊的変革に備え、サステナブルなモノづくりを

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 「プロダクション」「コネクション」「マシンラーニング」という3つの技術トレンドによって、大きな社会的変化がもたらされ、当然ながら混乱も少なくないと思われる。しかしながらブラム氏は「それ以上に“ディストラクション(大きな破壊的変革)”に迫られている」と語る。それは、資源の枯渇に関するものだ。

世界で都市に住む人間は2050年で70億人と、現在の約2倍になると考えられている。それらをまかなうためには、日々1000棟もの建物を建てていく必要があり、このままでは破綻は目に見えている。地球は既に人間の活動を支える限界にきており、ほぼすべての業界で製品や製造方法を見直す時期に来ている。

と、ブラム氏は強調する。

 この危機的状況を乗り越えるためには、サステナブルなデザインや製造方法へと変えていく必要がある。より無駄を出さず、水やエネルギーを必要としない製造方法、製品へのシフトチェンジが求められるというわけだ。無論、リサイクルやリユースもそのデザインの中に入る。その先駆的な事例として、ブラム氏は建築とエンジニアリングの会社である「ロイヤルダム」の取り組みを紹介した。

 ロイヤルダムが手がけた、アムステルダムにあるABNアムロ銀行の本社は、壁やドア、ケーブルなどに至るまで、他の建設現場で使われていたものを再利用してつくられている。たとえば、天井の断熱材には社員が持ち寄った不要なデニムからできており、この建物が解体された後もそれぞれの部品や素材を他のものに活用可能だという。数年後には5.5兆ドルの“低炭素型”サービスや製品が流通すると予測されており、こうした「サーキュラーコンストラクション(循環型建設)」と呼ばれるサステナブルな建築手法、建造物はその先駆けともいえるだろう。

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 省資源に迫られたサステナブルなデザインや製造方法を実現するのは、前述した「プロダクション」「コネクション」「マシンラーニング」という3つの技術トレンドだ。つまり、デザインと製造がシームレスになり、モノや場所同士が互いに情報を共有し、その最適化においてAIが有効に活用される。

 そしてもう1つ、それらの最先端技術を活用した事例として、ノルウェーの「The Vamma(ヴァマ)」という水力発電所が紹介された。築100年以上の施設を活かしつつ、最も効率的に水力でエネルギーを起こすタービン設計や施設の現状把握のためのドローン活用など、最新の技術を多数用いて、次世代の水力発電所を実現させている。

 製造業からは、ロッテルダム港でアディティブ・マニュファクチャリング(additive manufacturing、積層造形)を海洋事業の中で実現させた事例が紹介された。船の新しい部品交換には時間とコストがかかるものであり、3Dプリントを活用した大型船のコンポーネントを開発し、船を稼働させたまま取り替えるシステムを編み出したというものだ。

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 ブラム氏は、最後に下記のように語った。

Autodeskとしてソリューションを提供すると同時に、オープンプラットフォームの上で多くの技術と連携し、モダンなデザインやエンジニアリング、可視化やコラボレーション、製造や運用まで、あらゆる分野で“近代的な意味のある体験”を実現できる。Autodeskは、皆さんが何でもつくれるようなツールやソリューションを提供し、同時に皆さんが創り出すものにインスピレーションを受けて新たなモノづくりの支援を行っていきたいと考えている。

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