Web広告費を増やしている企業のポートフォリオから見えること
デ・スーザ リッキー氏(株式会社ロックオン)
1979年東京生まれ。日本に訪れたポルトガル人の末裔のため戸籍上も名前がカタカナだが日本人。明治大学卒業後、Web制作会社でディレクター/企画営業の経験を4年積んだあと、特定企業のブランディングを行うため株式会社ジュピターテレコム(J:COM)に転職。Webプロモーションの創世記より、通算10年以上のマーケティング実務経験を持ち、同社在籍時には、最終的にはWebプロモーションのすべてを統括・担当し、Web経由からの獲得数を飛躍的に伸長させた。
2017年3月より株式会社ロックオンに参画し、アドエビスのマーケティングに従事。複数の領域で前月比150~700%成長を記録し同年6月より現職。自らの実体験を元にした「実践的なマーケティング論」を体系化したテーマや、カスタマージャーニー、アトリビューションほか、マーケティング全般に関する内容を中心に、大型のマーケティングイベントに多数登壇。
そもそも、Web広告費は増えているのだろうか。3年前の予算との比較を聞いた設問では、月額100万円以上をかけている企業では「3年前より増えた」傾向が強かったという。「業種別で見ると、情報通信系や小売りはあまり伸びていないようだが、全体的には増加傾向にある」ようだ。
次に、この調査結果から得られた考察について。デ・スーザ氏は「Web広告費が増えた企業と増えていない企業が重視している項目や広告の活かし方には、明らかな違いが出た」という。
違いが出た項目の一つが、「最も重視している成果(CV)ポイント」だ。
広告の成果をチェックする際のポイントは、商品購入、お問い合わせ(電話、メール)、無料トライアル、会員登録など様々にあるが、広告費が増えていない企業が増えている企業に比べて重視していないポイントがいくつかあったという。
それは例えば、メルマガ登録や会員登録、見積もり依頼、来場予約、無料診断といったもの。つまり、必ずしも購買に直接は結びつかないが、ユーザーにとって“敷居が低い”アクションを重視するかしないかに差が出たというのだ。
広告費が増えた企業は、“顧客との接点”を大事にしている。売り上げをすぐに伸ばすCVではなく、中長期でユーザーを育てる戦略が見てとれる。
では、目標成果単価はどうだろうか? 結果は、「広告費が増えた企業は増えていない企業と比べて目標成果単価を高く設定している」というものだった。
一見すると、『敷居の低い行動を重視する』という結果と矛盾しているように見えるかもしれないが、実はそうではない。Web広告をうまく活用している企業は、メルマガ登録や特定コンテンツの閲覧などで獲得した“見込み顧客”を重視し、時間をかけて育てる。定期的に接点を持つことで、潜在ニーズを引き出し、ニーズが顕在化した時に確実に購買につなげていくというストーリーを描いている。結果、目標とする成果単価は高くなる。一方で、『安い単価で早く購買につなげたい』と考える企業は、頭打ちとなって広告への投資も伸びない。