株式会社空スペース(小金井市、社長:河島壯介)は、保持器を使用せずにボール同士を自律的に分散させる技術「ADB(Autonomous Decentralized Bearing / 自律分散式転がり軸受)」にナノダイヤ(直径が1/10万~1/100万mmのダイヤ)をコーティングしたベアリング、「708ADB+ND」を1万5千円で発売します。
製品は滑り摩擦を徹底的に排除したもので、低摩擦や油を嫌うニーズ、モーメント負荷等で破損し易かった箇所での採用を狙っております。
当社ではこの製品で1年後に売上1億円を目指す一方、多方面での実用化を急ぐため、この技術をご利用頂ける企業を広く募集します。(実績は、通常実施権契約、技術移転、共同開発契約、各1件)
なお本製品は5月19日より国立オリンピック記念青少年センターで開催されるトライボロジー会議の企業技術展示会に出展致します。
1.経緯
ボールの接触を防ぐために保持器で囲ったベアリング構造はレオナルド・ダ・ヴィンチが発明したもので、その弱点は、ボールと保持器との滑りを良くするための潤滑剤が必要なことでした。
当社は2007年 に潤滑剤に頼らないADBを開発し、サンプル提供を実施するかたわら、潤滑の最適化を模索しており、本発売に至りました。
製品は、ADBの摩擦をさらに低減するナノダイヤ潤滑を組み合わせ、さらに、セラミックボールと内外輪の防錆処理によって、お客様でのオイルフリーを実現しました。
発売は軸径8 mmのアンギュラ軸受 708 のみですが、市販ベアリングからの改造も承ります。
2.「708ADB+ND」の新技術
従来ベアリングに内在した保持器由来の滑り摩擦を、ADB技術で非接触化して解消。さらに、転がり接触面内の滑り摩擦をナノダイヤ技術で転がり化します。
1)ADB技術(特許:JP,US,CN 登録済)
保持器を使用せずに、外輪軌道に凹部(分散起点)を形成することで負荷領域に侵入するボールを分散させる技術です。
凹部はボールが接触しないために、その回転半径が縮小します。これにより侵入したボールは、僅かに自転エネルギーが増加、代りに公転エネルギーが減り、減速します。
逆に分散起点を脱出するボールは回転半径が増大することにより、自転エネルギーの一部が公転エネルギーに代って加速、後継ボールの間に隙間を作ります。分散起点内のボールが減速する際に後継ボールが接触しますが、凹部のボールは無負荷領域であるので、そのダメージは無視できます。
2) ナノダイヤ技術(特許:JP出願中)
ボールと軌道の転がり接触面では、公転方向に正逆方向の微小な滑りが生じます(黒矢印)。ここにナノダイヤを介在させると、滑りが転がりに代ると共に、ナノダイヤの濃度を均等化する循環流(赤矢印)が生じ、領域外への流出を減らします。
従来のベアリングでは、ナノダイヤが保持器との滑りによって軌道から排除され易く、これを循環利用するために油やグリースに混ぜる使い方は、高温や真空環境に強い固体潤滑剤の特徴を生かすことが出来ませんでした。
当社のナノダイヤ技術はADBとの組合せにより転がり接触面の潤滑に特化、固体潤滑剤の特徴を引き出すと共に長い潤滑寿命を可能にしたものです。
株式会社空スペース
株式会社空スペース(小金井市、社長:河島壯介)は、保持器を使用せずにボール同士を自律的に分散させる技術「ADB(AutonomousDecentralizedBearing/自律分散式転がり...
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