M&Aの条件交渉では最終決定権は“買い手”にある
自身の会社を売却する際に、その値段を最終的に決定するのは“買い手”です。中型・小型の会社や事業を売却する場合、買い手の多くは企業となります。それ以外にも個人やファンド等への売却が想定されます。
売却時の流れとして、最初はM&Aアドバイザリーを生業としている会社に依頼する所から開始します。そして、売却する際に重視したいことを明確化していきます。また、売却価格を優先するのか、それとも雇用など他の条件を優先するのか、といった方向性も整理します。
その後、事業の概要、会社の状態、売却理由などをまとめて資料化し、買い手候補者への接触を開始します。このとき売り手が選ぶ方法としては、1社に絞った交渉や、複数社を候補とするオークション方式があります。交渉の際には、デューデリジェンスと呼ばれるリスク調査が実施されます。会社の状態を相手の目線から確認し、その後、詳細な条件交渉となるのです。
ここでお伝えしたいことは、「詳細な交渉条件の目安は売り手から提案することもできるが、それを受けるかは、買い手側が決める」という点です。
「高額でしか売りたくない」といったとしても、「雇用を確実に守ってくれる買い手にしか譲りたくない」と思っても、その条件を買い手の企業が納得し、契約しなければ案件は成就しません。このことから、「最も条件を承諾してくれる可能性の高い買い手企業に提案すること」、「その企業の事業に対して最も貢献できる可能性のある提案をすること」の2点が重要になります。これは大規模なM&Aでは当たり前のように行われていますが、数百万円〜数十億円規模のM&Aでは意外にも意識されていないケースが多くあります。