アマゾンが導いた消費者の購買行動の変遷――“労働型”購買をテクノロジーでスマート化
まずアマゾンジャパンで消費財事業部門の責任者を務める前田宏氏は、消費者の購買行動を多様化させたAmazonのサービスを、今後日本でも公開予定の「Amazon Dash Replenishment」とともに紹介した。
前田氏によると、消費者の購買行動は“娯楽型”と“労働型”の2つに分類されるという。このうち、“娯楽型”とは、趣味の用品やアクセサリーなど、自分の好きなものを買う、購買自体が娯楽と感じる行動を指す。一方、“労働型”は、洗剤やトイレットペーパーなど、生活のために必要な購買行動を指す。
多くの消費者に“労働型”に分類される消費財を担当する前田氏は「“労働型”に分類される購買行動には、できるだけ時間を使いたくないという消費者の意向があります。この“労働型”を減らすために、2000年にAmazonが日本市場に参入した際、自宅のコンピューターで購買ができるネットショップをはじめたのです。そして、2010年ごろからはスマートフォンで購入ができるようになりました。それによって、通勤中や会社の休憩時間でも欲しいものを購入することができました。スマートフォンでは、洗剤や水といった繰り返し買うものを購入履歴から買うケースが多くみられました」と話す。
そこでAmazonは、IoTデバイスの1つとしてAmazon Dash Buttonを発売した。決められた商品のAmazon Dash Buttonを購入することで、以降はボタンを押すだけでその商品を購入することができるもの。そして2018年春からは、日本でもAmazon Echoをリリースした。これによって、消費者は声だけで注文することができるようになったのだ。20年前までは、所定の場所にいかなければ手に入らなかったものが、今ではほしいと思ったときにその場で手を動かさずとも購入できること当たり前になったのである。
前田氏は、さらに進化したものとして、Amazon Dash Replenishmentを紹介した。インターネットに接続した洗濯機やコーヒーマシーンが、消耗品の残量を検知し、自動でAmazonから購入するサービスだ。DRS(Dash Replenishment Service)のモジュールを搭載した機器であれば、Amazonの支払いシステム、配送システムやカスタマーサービスが活用できるようになる。
前田氏は、“労働型”に分類される購買行動を人間から解放するテクノロジーはすぐそこまで来ていると語った。
Amazon Echoは「消費者が声で注文することができるデバイス」として紹介されたが、その頭脳ともいえるAlexaは、今後どのように展開していくのだろうか。