映像解析でAIの精度以上に気をつけるべきこと
フューチャースタンダードは、映像解析AIのPoCを数多く行っている。その立場から、井手氏はPoCにおいて、SaaSやソフトウェアの導入とは異なる注意点があると話す。
映像解析のPoCに関して、企業はAIの精度を気にすることが多い。たしかにAIのアルゴリズムは新しいモデルがどんどん出てきている。しかし、SCORERは常に最新で高性能のものを使用しており、新たなアルゴリズムにも柔軟に置き換えることができるよう設計されているため、AIの精度よりも映像の質やカメラの位置が問題となる事が多い。
たとえば店内での顧客の動線を解析したい場合、棚がたくさんある場所だとカメラの位置を工夫しないと動線が確認できない。また、カメラの設置位置や画質によっては、その顧客の性別や年齢が把握できずに使えないこともある。
来客の属性を把握するのに映像解析AIを使いたいと考えている際、最適な場所に設置してあっても、時間によって対面のビルの窓に太陽が反射し、逆光でカメラに顔が映らず、カメラを変える必要が出てくることもある。広角レンズで撮りすぎて、動線は確認できても個々の人を分析できないこともある。カメラが邪魔にならないように配慮しつつもきちんと映るようにしなければならない。
映像は補正をかけて修正したとしても目で見て判別できないものは認識できないのである。こういった映像がうまく撮れない状況が発覚するのは、多くの場合は現場に行ったときだと井手氏は話す。そこが他のシステム導入とは異なる部分である。現場との調整が大きなウェイトを占めるのだ。
映像が撮れても、AI側で認識できないということもある。そのとき、自社で専用のモデルや、特定のアルゴリズムに特化したシステム構築を行っていると、システムの再構築も必要になることが多い。しかし、「SCORER」では同じ映像をもとに、様々なアルゴリズムで検証する事もできるため、現場の業務を可視化するためのカメラと映像に集中して調整を行うことで、最適な解析環境が構築可能である。
PoCというものは、研究なのです。開発だと思われている企業様はいくらでシステム構築ができるかと聞かれますが、実際には研究要素がかなりあるので初期の段階ではトータルコストが読めません。新規事業や研究ベースのプロジェクト進行に慣れていらっしゃる企業様のように、プロトタイプやPoCの見積もりをとるためのコストを予算計上するようなマインドセットが必要になってきます。ただ、その研究フェーズに投じた予算を無駄にすることなく本番にも活かすため、「SCORER」では、研究から運用までを一気通貫できるようなプラットフォームとして設計しています。
と井手氏は話す。