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イノベーションこそ持続的な成長の要、既存企業が取り組むための『イノベーションの攻略書』

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 資金や人員などリソースを見ればイノベーションに有利なのは既存企業のように思えるが、どうしてたいてい失敗しスタートアップに市場を席巻されてしまうのか。その原因は培ってきた「確実な手法」をイノベーションに当てはめてしまうからだ。翔泳社が11月6日に発売した新刊『イノベーションの攻略書』では、既存企業がその問題を乗り越えイノベーションに取り組むための知識とツールについて解説している。

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イノベーションの攻略書 ビジネスモデルを創出する組織とスキルのつくり方』では、イノベーションが必要だと理解して取り組んでいるのにうまくいかないと悩んでいる既存企業のために、その開発や管理、維持について書かれている。

 本書は『The Corporate Startup』(2017年、Vakmedianet)の邦訳となるが、内容は日本企業においても当てはまる。著者らはイノベーションが既存企業においても持続的な成長に欠かせない原動力であり、21世紀の事業経営のあり方だと指摘する。一方で、イノベーションに取り組んだ多くの企業では失敗が続いている。自社でもチームや部門を設けて取り組んでいるものの……という方もいるのではないだろうか。

 その原因として、企業が現時点では競争優位を築き成功を収めているがために、その「確実な手法」をイノベーション事業にも当てはめてしまう傾向が挙げられる。また、特に上場企業では株価を気にした短期利益が優先されるので、中長期で投資して事業を育てる時間的余裕を作れないことも問題だという。成功したスタートアップの手法を真似するのもよい手ではない。なぜなら、既存企業はスタートアップではないからだ。

 いったいどうすれば日々の成果のために尽力しながら将来の収益のためにもエネルギーを注げるようになるのか。一部の企業はカリスマ的なリーダーや死にもの狂いになる危機的な状況によって事態を乗り越えてきたが、著者らは必ずしもそれは不可欠ではないと語る。必要なのは、イノベーション・エコシステムを構築することだ。

 どのアイデアにどんな長期目標を設定して投資すればいいのか。それらの事業アイデアをポートフォリオとしてどう管理すればいいのか。アイデアや技術を商業的に成功させるのはどんなフレームワークか。そしてどにょうなKPIがイノベーションの進展に有効なのか。こうした理論面の解説がなされたあと、実践のための具体的な手順が解説されていく。

 本書は既存企業でイノベーションや新規事業を担当する人のための、新しいアイデアを生み出し事業として成功・拡大させるための知見が詰まった1冊である。

目次

Introduction イノベーションのパラドックス

PART 1 エコシステム
Chapter 1 イノベーション・エコシステム
Chapter 2 イノベーション投資方針
Chapter 3 イノベーション・ポートフォリオ
Chapter 4 イノベーション・フレームワーク
Chapter 5 イノベーションKPI

PART 2 実践
Chapter 6 アイデア創造
Chapter 7 アイデア検証
Chapter 8 事業の拡大
Chapter 9 事業の見直し
Chapter 10 今日から始めよう

イノベーションの攻略書

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イノベーションの攻略書
ビジネスモデルを創出する組織とスキルのつくり方

著者:Tendayi Viki、Dan Toma、Esther Gons
翻訳:渡邊哲、田中陽介、荻谷澄人
発売日:2019年11月6日(水)
価格:2,400円+税

本書では「イノベーション・エコシステム」を築くために、組織を変える「5つの原則」と、現場を変える「4つの実践」をフレームワークや事例をもとに、ビジュアル要素もふんだんに使って解説します。

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この記事の著者

渡部 拓也(ワタナベ タクヤ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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