台湾企業に聞く、新規事業の成功確率を高める「“技術ドリブン”と“マーケットドリブン”の融合」とは?

第5回 ゲスト:サイバーリンク Hilda Pengさん

 前回に引き続き、新規事業開発に携わる方へのインタビューを通して、大企業内での新規事業開発のリアルな事例をご紹介するシリーズ。今回は台湾のマルチメディアソフトウェア企業サイバーリンク株式会社のゼネラルマネージャー Hilda Peng氏にお話を伺いました。
 国内トップシェアのPowerDVD・PowerDirectorなどのコンシューマー動画関連ソフトをはじめ、YouCamメイクなどのメイクアプリ、FaceMeに代表される顔認識エンジンなど次々に新サービスを成功させているサイバーリンク社。事業を連続で成功させている秘訣や、台湾、アメリカと日本でのビジネスの違いについて詳しくお聞きします。

[公開日]

[語り手] Hilda Peng [聞] 畠山 和也 [写] 伊澤 絵里奈 [編] 梶川 元貴(Biz/Zine編集部)

[タグ] スタートアップ 事業開発 テクノロジー 新規事業

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新サービスをトップシェアまで押し上げて気づいた日米マーケットの違い

畠山:サイバーリンクは台湾の企業ですよね。どのような企業なのでしょうか。

Hilda Peng氏(サイバーリンク株式会社 ゼネラルマネージャー、以下敬称略):私たちは、動画再生ソフトPowerDVDや動画編集ソフトPowerDirectorなどのソフトウェア開発を行っている会社です。台湾では鴻海精密工業(ホンハイ)やスマホメーカーのHTC、PCメーカーのAcerなど、ハードウェア企業の方が有名ですが、私たちのようにソフトウェアに特化した企業も増えてきています。1996年に設立したCyberLinkは、1998年には日本法人立ち上げ、1999年にはアメリカ法人も立ち上げています。主力商品のPowerDVDは2006年から、PowerDirectorは2016年から日本でトップシェアを獲得しています。これは台湾ではもちろんもっと早いですし、実はアメリカでも日本より少し早い時期からトップシェアを占めるようになりました。

畠山:日米台でトップシェアということですが、市場へのアプローチ戦略としてはいずれも同じだったのでしょうか。

Peng:台湾とアメリカでは、PCにプリインストールしてもらうためのバンドル先を開拓し、その後コンシューマー向けで展開していきました。しかし、日本では逆で、コンシューマーで売れたことを背景に「PCにバンドルしませんか」という営業を展開しています。日本の企業は、アメリカや台湾と比べて実績を求める傾向にあります。バンドルビジネスを成立させるための実績として、コンシューマー向け製品の成功が必要だったのです。

畠山:確かに、ソフトウェアの不具合は、日本では致命的な問題になりがちですね。だから「安定して稼働している数」という実績が重要視されるのだと思います。

Peng:そうですね。一方でアメリカのメーカーは「我々のPCは最新の技術をサポートしています」と言いたいので、実績よりも技術的な価値を重視します。もちろん日本でも新しいテクノロジーを求められますが、それに加えて安定性や完成度、そしてそれらを保証する実績が重要視されるということです。

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