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ビジネスモデルに効く戦略・戦術はデルタモデル:前編

第26回

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トータル顧客ソリューションとシステムロックイン

顧客の経済性を改善すること「トータル顧客ソリューション」戦略

 デルタモデルの2つ目の戦略的方向性は、トータル顧客ソリューションです。ベストプロダクトが基本的に幅広い消費者に対してプロダクトやサービスを提供することを意図する一方、トータル顧客ソリューションは顧客の経済性を改善することによって利益を獲得することを狙いとします。「水平展開」とは、アマゾンのように顧客に幅広いプロダクトを提供するとともに、利便性の高いパーソナライズ化されたサービスをワンストップで提供しようとするものです。「顧客経験の再定義」とは、顧客がプロダクトやサービスに触れる幅広いステージにおいて、顧客の経験を向上させることを狙いとします。たとえば、チケットの予約、空港までの移動、空港内、飛行中、宿泊地などにおける顧客経験を改善するようなサービスを提供する航空会社や旅行代理店がよい例です。「顧客統合」とは、顧客のアクティビティの一部を代わりに引き受けることを意味します。顧客が企業であればアウトソーシング、消費者であれば家事代行などは、この典型です(図4)。

トータル顧客ソリューション図4:トータル顧客ソリューション

生態系全体の経済性に焦点をあてる「システムロックイン」戦略

 デルタモデルの3つ目の戦略的方向性は、システムロックインです。最も完成度の高い究極的な戦略といえそうです。これは、サプライヤー、パートナー、補完事業者、場合によっては顧客を含むビジネスモデルに関係する全ての利害関係者から構成されるシステム全体の経済性に焦点を当てるものです。「補完業者のロックイン(囲い込み)」とは、eBayやヤフオク、大手のクレジットカード会社のようなネットワーク外部性による効果をもつプラットフォームビジネスが中核となります。「競合他社のロックアウト(締め出し)」とは、主に流通経路を統制することによって競争優位を確立しようとするものです。昔でいえば宝石商のデビアス、現代でいえばコカコーラが代表といえるでしょう。「業界スタンドード」は、説明しなくてもお分かりですよね。マイクロソフトやインテルなどが最も成功した企業です(図5)。

システムロックイン図5:システムロックイン

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デルタモデルで戦略を実行に落し込む3つのプロセス

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この記事の著者

白井 和康(シライ カズヤス)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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