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グローバルファイナンス看板教授の「アベノミクス評」

フランクリン・アレン教授/WGF東京2013レポート:第1回

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日本経済の本当の問題は何か?

フランクリン・アレン教授▲ 写真:フランクリン・アレン教授

「経営資源の活用効率が低いこと」

 基本的な問題は、日本は経営資源の活用効率が低いことである。たとえば、GDP対比では、日本企業の減価償却、内部留保は、米国企業を上回っている。つまり、「より高い競争力を持つことが可能なのにできていないこと」が問題なのだ。

「低金利の問題」

 ここで、あらためて「低金利の問題」を指摘したい。金利が低いために、高いリターンを求められず、結果的に競争力を失っているのである。「為替レートが円安」になることは、短期的に輸出企業によいが、長期的には問題解決にならないだろう。ドイツは、ユーロ高でも強い競争力を維持しており、かつての日本も同様であったが今はそうではない。「日本は競争力を失っている」のである。

 また、金融機関が保有する国債の満期までの平均残存期間は、大手銀行では約2.5年であるのに対して、地方銀行では約4年、信用金庫では約5年と長くなっている。そのため、金利上昇時には国債価格が下落し、地方銀行や信用金庫の自己資本が毀損するおそれがある。

「評価損を報告しなくて良いというルール」

 しかし、日銀の報告書によると、「金利上昇による国債の評価損を報告しなくてよい」というルールがあるようだ。このルールのおかげで、日本の金融機関は、長期金利が上昇することに起因する破綻を心配しなくてよい。

 しかし、我々エコノミストには、問題が生じることがわかる。このような「評価損を報告しなくて良いというルール」は、アメリカで証券化された住宅ローンに損失が発生した際に、どの金融機関に損失が生じているのかわからず、あらゆる金融機関に対して我々が疑心暗鬼になってしまったのと、同じ状態を引き起こすのではないかと思う。

 このような要素がアベノミクスにおいて、実際のところ、問題になるのではないだろうか。日銀は、この問題を無視しようとしているようにおもえる。長期金利が上がらずに経済が成長すればよいのだが、長期金利が上昇する可能性があることを忘れてはならない。つまるところ、経済が成長しなければ、問題は解決しないのだ。

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