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グローバルファイナンス看板教授の「アベノミクス評」

フランクリン・アレン教授/WGF東京2013レポート:第1回

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金融市場の成長と、経済の成長に乖離が生じている

 低金利の問題だけでなく、グローバルな不均衡、特に外貨準備の不均衡が大きな問題となっている。たとえば、韓国は、1990年代の危機において、IMFに厳しい緊縮財政を強いられた経験から、外貨準備を大幅に増やしている。

 中国に関しては、北京オリンピックの際には人権問題が大きく取り上げられたが、今では、巨額の外貨準備を頼って中国に各国が借りに行くようになっている。各国が外貨準備を増やすことは、その国の保険としては良いのだが、グローバルには極めて非効率である。

ドル建て外貨準備高 1996-2011年▲ 図表2.ドル建て外貨準備高 1996-2011年

 原因の一つは、IMFがアメリカとヨーロッパ主導の組織であることだ。日本は低い議決権シェアに甘んじているし、中国はIMFに相応の地位を要求している。しかし、このIMFの改革は容易ではないだろう。また、金利が及ぼす影響については、消費者価格ではなく、不動産価格に注目すべきである。アメリカでは金利が下がっているが、そのことによって、新たな問題が生じているように思う。

米国の住宅ローンと住宅ローン担保証券▲ 図表3.米国の住宅ローンと住宅ローン担保証券

日本の長期的な問題

 まず、中国との関係に、注意が必要である。偶発的な出来事によって日中関係の問題が悪化しないことを願っているし、アメリカも日中の問題に強い関心を持っている。また、長期債務が、依然として拡大を続けており、GDPの230%にも達していることが問題である。

 最近、純債務だけを見れば、それほど悪くないのではないか、という見方もされていたが、純債務だけを見たとしても、その水準はイタリアよりも高いのだ。人口問題は、移民が解決方法の一つであるが、日本にとっては選択肢になっていないようである。

 さらに、私にとって、大きな問題に感じられることは、ソニー、パナソニック、シャープといった企業をはじめとして、日本経済が競争力を失っていることである。GDPも中国経済の減速に伴って減少傾向にある。このような多くの長期的問題を抱えているのが、現在の日本である。

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