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コーン・フェリー、2021年の世界報酬動向調査を発表 コロナ禍を契機に「非金銭的報酬」を重視へ

 コーン・フェリーは、2021年の世界報酬動向調査を発表した。

[公開日]

[著] BizZine編集部

[タグ] 企業戦略 報酬動向調査 非金銭的報酬 トータルリワード 福利厚生

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3つの重要な傾向

 コーン・フェリーでは2020年3月から計4回にわたって世界中で簡易サーベイを行い新型コロナウイルスによるパンデミックが報酬プログラムに与える影響を定点観測した。その結果をコーン・フェリーの包括的な報酬データベース、コーン・フェリー各オフィスの報酬専門家の知見を組み合わせて分析し、今後世界の報酬動向に影響を及ぼす3つの重要な傾向を導き出した。

  1. 昇給を全く予定していない企業の割合が増加
  2. ほとんどの国や地域の平均的な昇給予定額は減少
  3. 企業は限られたリソースを優秀人材や重要職種に優先的に振り向ける

1:昇給を全く予定していない企業の割合が増加

 昨年実施のサーベイでは世界全体で昇給ゼロを計画している企業はわずか5%だったが、2021年にはその数は16%に増加。中東では33%とさらに高く、フランスでは24%、英国では20%、米国では13%。特に大きな打撃を受けた業界でその傾向は顕著。レジャーおよびホスピタリティ業界の91%、小売業の57%、銀行業の44%が業績に深刻な影響が出ると予想。

2:ほとんどの国や地域の平均的な昇給予定額は減少

 地域別昇給率の予測では、北米が2.5%、西欧が2.1%、太平洋地域が2.0%で、それぞれ前年比0.3%、0.4%、0.5%の減少。前年比の減少幅が最も大きいのはアフリカで、来年度の予測は5.0%と、前年の7.9%を2.9%下回る。インフレ率が特に低い国では従業員の実質賃金(Real Salary Forecast)が上昇。英国が良い例で、2021年の報酬の上昇率は1.9%で、昨年の見通し2.5%よりも大幅に低いものの、インフレ率が0.4%にとどまっているため、2021年の見通しされる「実質賃金」の上昇率は、昨年の0.4%に対して1.5%。

3:企業は限られたリソースを優秀人材や重要職種に優先的に振り向ける

 多くの企業が昇給原資を全従業員に均等に資源を配分するのではなく、昇給対象を重要人材に絞っている。企業が優先順位を高くしている2つのグループは以下。

  • 今現在のキーパーソン:現在の危機を乗り切るための鍵となる人材
  • 未来のキーパーソン: ビジネスの変革に熟練している人材、または将来的に企業を存続させる適切な能力を持っている人材

企業は非金銭的報酬を重視するように

 国や産業を問わず世界中のほぼすべての企業が報酬に関して大きな制約に直面する中、昇給やその他の金銭的な報酬がなくても従業員が価値とやりがいを感じられるようにするために、金銭以外の報酬を含めたトータルリワードという観点がこれまで以上に重要になっている。

 パンデミック以来、各種福利厚生はこれまで以上に多様化。経営陣は現場に従事する人材に対して最大限の配慮を示すため、ウェルネス(健康)に関する福利厚生への投資が増加。

 ワークライフバランスの観点からも、多くの企業がリモートワーク計画を推進。最近のパルス調査で調査した企業の42%が、従業員の一部に恒久的に在宅勤務をさせる計画を立てていると回答している。最近の報酬と福利厚生に関するパルス調査で調査した企業のうち、51%の企業が従業員やその家族が感染した場合に休暇を提供。一方、30%は繰越休暇の上限を引き上げ、27%は従業員の精神的、肉体的、精神的な健康に配慮した福利厚生を提供している。

日本の報酬調査責任者のコメント

「日本は、他国と比較するとコロナ感染の状況はコントロールされています。既存人材の報酬を年功序列から脱却するという課題はビフォーコロナからの課題であり、ポストコロナ時代を見据えた人材マネジメントにおいて、必要な人材の確保や、既存人材のリスキルなどがより緊急度が高いテーマです。新しい働き方を模索する中で社員のエンゲージメントを下げないためにも、昇給凍結はコストコントロールの選択肢の上位にはなっていません」(コーン・フェリー デジタル部門ユニットリーダー 岡田靖代)