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ディープテック「事業化」への道筋

既存ルールが共創を殺す。大企業の「既存の論理」からディープテックを守る出島組織と資本戦略

第2回

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 「ディープテック」は世界中で注目されています。グローバルの投資額は10年で21.5倍に増えており、2030年には1,300兆円市場になるともされています。しかし国内に目を向けると、PoCを突破できる案件はわずか8%程度に留まっています。このギャップの正体はどこにあるのでしょうか。前回は、ディープテックの事業化を阻む「4つの壁」について触れました。今回はその中でも、多くの企業担当者が直面する「企業内、あるいは企業間のコミュニケーション不全」と、それを乗り越えるための具体的な「組織設計」と「資本戦略」について深掘りします。

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なぜ事業部とR&Dはすれ違う? ディープテックを殺す社内の壁

 多くの大企業において、研究所(R&D)と事業部が互いに「話が通じない」と感じることは日常茶飯事です。しかし、これを単なるコミュニケーション不足や性格の不一致で片付けてはいけません。これは構造的な「時間軸と評価軸の決定的乖離」に起因する問題だからです。

 この乖離が起きる根本原因は、私たちが普段慣れ親しんでいるITサービスなどの「Light Tech」と、科学技術ベースの「Deep Tech」で、そもそもプレイしているゲームの性質が異なる点にあります。「創業してから高速で開発し、顧客を見つける(PMF)」Light Techに対し、Deep Techは「創業するまでの研究期間が長く、産業構造そのものを覆す」性質を持ちます

 この違いを理解しないまま、既存事業の物差しで測ろうとすると、現場では以下のシーンのような「すれ違い」が頻発します。

シーン:ある大企業の新規事業会議にて

  • 事業部担当者(PL責任者):「この技術、面白いですね。で、来期の売上はいくら立ちますか? 導入してくれる顧客の確約はあるんでしょうか?」
  • R&D研究者(技術責任者):「いえ、まだ基礎研究段階です。しかし、この素材が実用化されれば、10年後の業界標準が根本から変わります。今は顧客を探すより、原理証明を急ぐべきです」
  • 事業部担当者:「10年後……。いや、うちの課の目標は3年以内の黒字化なんです。素晴らしい技術だとは思うけど、今の事業部のミッションには合わないですね」
  • R&D研究者:(心の中:目先の数字ばかりで、本質的な技術の価値を理解していない……)

 多くの場合、事業部側は「短期的なPL(損益)」と「確実性」を求め、R&D側は「長期的なBS(資産価値)」と「可能性」を見ています。この「時間と言語の断絶」こそが、ディープテックが社内で死んでいく最大の要因です。

LightTechとDeepTechの比較図
クリックすると拡大します

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大企業の「免疫システム」からディープテックを守るには

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この記事の著者

金子 佳市(カネコ ケイイチ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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