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Purposeを起点とした新しい経営

LIXIL瀬戸社長に聞く、“利益”と“持続可能な価値創造”を両立させる「パーパス経営」

第15回 ゲスト:LIXIL 瀬戸欣哉氏

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 いま企業のあいだでは、社会における“存在意義=Purpose(パーパス)”を再定義して、「何のために存在しているのか」、社員一人ひとりは「何のために働くのか」を明確にする動きが活発になっています。これは技術革新や時代の変化によって価値観が変化したことや、企業都合のビジネスではなくサステナブルな経営が求められるようになった社会の変化も影響しています。  そこで、パーパス経営を推進するコンサルティングを提供するIdeal Leaders株式会社のCEO永井恒男氏が、すでにパーパスを導入している企業の方をゲストに迎え、そのメリットを解き明かします。今回のゲストは、株式会社LIXILの代表執行役社長兼CEO、瀬戸欣哉氏。パーパスを起点に、ステークホルダーや社会に対して持続可能な方法で価値創造を目指すという同社の取り組みについてお聞きしました。

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LIXILがパーパスを策定したきっかけ

永井恒男氏(以下、敬称略):本日は御社のパーパス策定についてお聞きしたいと思っているのですが、おそらくパーパスだけを独立して作られたのではなく、4月13日のESG説明会の中で掲げられた価値創造プロセスの中で設けられたものと拝察しています。そこでまずは、御社の中におけるパーパスの位置付けからお聞きしてもよろしいでしょうか。

瀬戸欣哉氏(以下、敬称略):LIXIL入社前に経営していた工業用間接資材を販売するMonotaROで、お金を稼ぐことに目的を置いてしまうと、従業員にとって仕事が自分事化しにくくなるという現実に気づかされたことが、今回のパーパス策定のきっかけです。実際、私が経営の勉強を始めた際、従業員の目的と会社の目的を一致させることが経営者にとって重要な仕事だということを学びました。

 自動車のディーラーに例えると、販売側には「できるだけたくさん売る」、仕入れ側には「できるだけたくさん買う」という目的を第一とすると、会社は立ち行かなくなってしまうということです。なぜなら、販売側は多く売るために値下げをし、仕入れ側は多く買うために仕入れ値を上げてしまうからです。かといって、それぞれに何かインセンティブを設定するとしても、限界があります。

永井:だからこそ、全員の前提となる目的を理解しておく必要がありますよね。ただ、そのためにどうすればいいかが問題で、これが非常に難しいところだと思います。

瀬戸:たとえばオリンピックで日本代表の選手が金メダルを獲得すると、あまり関心のなかった競技であってもどこか喜ばしいものですよね。これは「日本」という共通点があるからで、同様に「企業」という共通点のある人たちが自社の優位を自覚できるようなものを示すことができれば、多くの従業員がその会社のために頑張るのではないでしょうか。

 ただ、LIXILほどの組織規模になると、INAXやトステムなど従業員の出自もバラバラで、全員が現在の「LIXIL」に対して深い愛着を持っているとはいえないかもしれません。それでも、所属している以上は会社に対する愛情はあるはずで、その気持ちを素直に表現できるようにしてあげることが必要です。そこで、LIXILが世の中に貢献し、役に立つことをしているという理解を促す方法を検討することにしたのです。

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この記事の著者

友清 哲(トモキヨ サトシ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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