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ADKホールディングス植野CEOが語る、「歓びの体験」を軸としたパーパス経営

第20回 ゲスト:ADKホールディングス 植野伸一氏

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 いま企業のあいだでは、社会における“存在意義=パーパス”を再定義して「何のために存在しているのか」、社員一人ひとりは「何のために働くのか」を明確にする動きが活発になっています。これは技術革新や時代の変化によって価値観が変化したことや、企業都合のビジネスではなくサステナブルな経営が求められるようになった社会の変化も影響しています。『パーパス・ドリブンな組織のつくり方 発見・共鳴・実装で会社を変える』の著者であるIdeal Leaders株式会社 COOの後藤照典氏が、既にパーパスを策定・運用している企業の方をゲストに迎え、そのメリットを解き明かします。今回のゲストは、株式会社ADKホールディングス 代表取締役社長 グループCEOの植野伸一氏。「すべての人に『歓びの体験』を。」というパーパス込められた想いとその成果についてお聞きしました。 ※取材はマスクを着用し、ソーシャルディスタンスを保って行っています。

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クライアントの先にいる生活者に向けて社会的存在意義を明文化

後藤照典氏(以下、敬称略):御社が「すべての人に『歓びの体験』を。」というパーパスを策定されてから、約1年が経ちました。そもそもこのパーパスはどのような社会的情勢を意識し、また、どのような社内ニーズのもとに策定されたものなのでしょうか。

植野伸一氏(以下、敬称略):やはり環境の変化が要因としては大きいですね。弊社は創業から65年を迎えましたが、その間、災害なども含めて私たちを取り巻く外的な環境は大きく変わりつつあります。企業としても地球環境をどう守っていくのかが身近な問題となっており、これは経済活動と切り離せない課題となりました。

 そうした時代の中で、我々としても株主の皆さんだけを見て事業に向き合うのでなく、消費者まで含めた多くのステークホルダーを意識していく必要があります。では、ADKは消費者に何を提供できるのか。この点を深く掘り下げた上で生まれたのがこのパーパスになります。

後藤:なるほど。これはCEOである植野さんご自身の発案によるものなのでしょうか。

植野:そうですね。ADKでは「全員経営」という理念を掲げていますが、一方で、ここ数年のうちに非上場化・分社化といった動きがあり、さらには中途入社の多い会社であることから、ADKグループとしていかに人材をまとめていくかが喫緊の課題でした。そのためにもパーパスが必要だったわけです。

後藤:「すべての人に『歓びの体験』を。」という言葉が、まさにグループをまとめあげるためのキーフレーズになるということですね。

植野:企業にとって差別化がしにくい時代でもあるので、そこで何を訴えていけば商品やブランドの価値を高められるかを考えた時、生活者の皆さんにとって、ライフステージの中で楽しい接点を持ち得る会社でなければならないと考えたんです。そうした生活動線の中で接点を、「歓びの体験」と表現しました。

株式会社ADKホールディングス 代表取締役社長 グループCEO 植野伸一氏
株式会社ADKホールディングス 代表取締役社長 グループCEO 植野伸一氏

後藤:広告会社がこうしたパーパスを掲げるのは、珍しい取り組みなのではないかと思います。このパーパスは、植野さんご自身がこれまでも胸に秘めていた理念と一致するものなのでしょうか。

植野:今日に至るまでのマーケティング環境や購買環境の変化の中で、自然に培われたものでしょうね。我々はBtoBの企業ですから、直接のクライアントは消費者ではありません。それでも、クライアントの先にいる消費者、生活者についてどれだけ理解できているかは重要だと思っています。

後藤:なるほど。「歓びの体験」を多くの人々に提供する上で、そこは欠かせないわけですね。実際のパーパス策定のプロセスについてはいかがでしょうか。

植野:CSO(Chief Strategy Officer)の中井(規之氏)をリーダーに据えて、30~40代の社員30人ほどでチームを作り、現場の意見に則ったパーパス作りを行いました。期間も1年ほどかけており、ワークショップを重ねて策定しています。我々はモノづくりの会社ではなく、広告会社でありマーケティング会社なので、これからを担う世代を中心に議論してもらうことに意味があると考えました。結果、満足度でいえば100点満点と言えるパーパスができあがったと感じています。

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この記事の著者

友清 哲(トモキヨ サトシ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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