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コクヨ山崎氏「100万冊以上売れたノート」を作るまで

スマホノート「CamiApp」のリーンな開発

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コクヨのスマホノート「CamiApp」(キャミアップ)は100万冊以上売れている。それでも、1億2000万冊売れるキャンパスノートに比べれば、傍流だという。企業内の事業開発者が集う「InnovationCafe」というイベントで、コクヨS&Tの山崎篤氏が語る商品開発プロジェクトが、大企業内でのスタートアップの成功のベストプラクティスを紹介した。

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非公認プロジェクトから始まったキャミアップ

「自分は傍流だ」そう語るのはコクヨS&T株式会社 事業戦略部の山崎 篤氏。 コクヨのデジタルノート「CamiApp」(キャミアップ)の仕掛け人である。 97年にコクヨS&Tに入社し、当初はアナログの家具部門に配属されたが、2000年代にはいってからは、デジタル・IT関連の新事業開発をおこなってきた。以来、イノベーティブなプロジェクトを率い、ASPやSaaSなどの事業分野でグランプリのアワードを獲得している。その彼が、自分を「傍流」と規定するのはなぜか?

完全に会社の本流にいたことはなくて、いまだに隅っこの方で新規事業とかをずっとやり続けているっていう感じです。会社の方もそういう人を僕のような社員をちょっと泳がせておこう、みたいな人事制度が一応数年前に出来て、それ以来新規事業開発でずっとやってきています。

コクヨの商品のネーミングは、駄じゃれが多い。針をなくすステープラーの「ハリナックス」、背幅が伸びるクリアーブックの「NOViTA」、PC用のプレゼンツール「コクヨウセキ」(コクヨ→黒曜石)など。スマホノートのキャミアップも、「スマホのカメラで撮って紙をアップロードする」ことから来ている。もともとは、社内の新規事業提案プロジェクトから始まった。当初は社内事業提案プロジェクトとして、一時的に行われた横断プロジェクトが解散後も、4人の非公式メンバーで、活動を続けたという. 2010年に、「インターネットとつながる文具」をつくるというコンセプトとして本格的に動き出したものの、当初はなかなか理解されなかったという。

主要商品はキャンパスノートっていう一億2000万冊以上売れているノートです。今日のお題が「100万冊以上売れたノート」ということですが、主力のノートは1億冊以上売れているので、全然かないませんね(笑)。

主力商品のキャンパスノートはまだ伸びている。しかし、それに胡座をかいているわけにもいけない。そこでいろいろ調査研究を初めて、2010年にインターネットにつながる文具を作ろうということになった。

今だったらさしずめ、「IoT」(モノのインターネット)という言葉があって、説明しやすいんですが、当初は「なんやそれ?」っていう感じでしたね。以前は研究開発部門にいて、一応30%ルールっていうのがあったんですが、一部の人にしか機能していなかったんです。 で、今いる事業会社には、そういう制度もなかったので、役員会などを通して、「非公認の公認プロジェクト」にしてもらったんです。といっても、本業は普通にやって、その上で勝手にやれっていうだけの話だったんですけどね。

イノベーションのプロジェクトを進める上で、地味ながら重要なポイントを、山崎氏は、社内でのプロジェクトの承認に置く。イレギュラーなプロジェクトであっても、活動自体が半ば公認のものとして、認められることが重要。

さらに新規事業の立ち上げには、本業との関係がポイントである。本業のビジネスを無視するわけにはいかない。 そこで、本業のキャンパスノートのメンバーや営業にも参加してもらったという。

弊社の中で、キャンパスノートっていうのはものすごいものなのです。本業であるノート製品として出すからには商品会議とかもものすごく時間をかけて慎重にやらないといけない。これがコケたら会社が傾いちゃうぐらいの事態なのです。そこに、僕みたいな変な奴が、スマホノートだって出すと、「お前、何を勝手にぬかしとんじゃ」みたいな話になる。今回は運良くキャンバスノートを作っている人が仲間にいた。あと、ノート自体はお店に置いてもらわなければいけないのですが、ちょうど営業側の一番柔らかいアタマの人も仲間にいた。そういう仲間をどんどん増やそうということで、活動し20名ぐらいになりました。

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京部康男 (Biz/Zine編集部)(キョウベ ヤスオ)

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