旭化成ホームズは、自社で提供する戸建住宅ヘーベルハウスおよび賃貸住宅ヘーベルメゾンに設置する太陽光パネルについて、旭化成とグループ共創による、AIを含むDXを活用したボルト管理システムを4月より試験運用開始することを発表。今後は半年間の試験運用を経て、一部の施工エリアでの本格運用開始を目指す。
DXを用いた太陽光パネル施工管理システムの概要
1.「超音波」を用いたボルト締結判定システム
- 独自開発のシステムを組み込んだインパクトレンチ(ボルト締め器具)を利用
- ボルトを締める際に発する超音波を、器具に内蔵したシステムが判定し、適正な締結音に達した時点で工具を自動停止するように設定
締めたボルトの数と時刻に関する情報は、クラウド上に設定された顧客データベースに自動でアップロードされ、「いつ・誰が・何本のボルトを適正に締めたか」という記録が残る。このシステムには、旭化成のデジタル共創本部の高度な技術が活かされているという。
2.「AI音声対話アプリ」を用いた施工済み箇所確認判定システム
- あらかじめ設定した箇所、例えば太陽光パネルを載せる架台の縦一列分のボルト締めが終了した時点で、独自開発した音声認識アプリをインストールしたスマートフォンとつないだ、ウェアラブル端末のBluetoothマイクに「締め付け完了」と話しかけることで音声認識アプリとの会話を開始
- どの部分で何カ所のボルトを締めたか、などの問いかけに答え、会話を通した「いつ・誰が・どこのボルトを締めたか」の情報を自動でクラウドへアップロード
ボルト締結時にアップロードされた「適正に締められたボルトの本数記録」と、会話時にアップロードされた「締められたボルト箇所の記録」をエビデンスとして残すことができる。
本システム運用で得られる効果
1.熟練の技術に頼らずに適正な強度でのボルト締めを実現し、建設技能者不足に対応
太陽光発電システム特有の施工を担う建設技能者には相応の経験と技術が求められるが、本システムの運用によって、その中でも特に重要なボルト締めという工程において、「人」の技術に頼らない本質的な品質の向上と、熟練の建設技能者不足への対応を同時に実現することが可能に。
2.施工精度を確認する検査員が不要となり、人材不足を補うと同時にコストを削減
従来は、太陽光発電システムの施工後にボルト締めが適正に施工されているかを確認するために社内資格を持った検査員が検査を行っていた。本システムを運用することにより検査員による検査が省略されることで、人材不足を補いつつ、コスト削減を実現可能に。
3.施工手間の短縮による建設技能者の負担を軽減
これまでの施工では、ボルト締めを行う際に、仮固定→本締め→目視のうえボルト1本毎にマーキング、といったように、同じエリアを複数回りながら施工してきたが、本システムの運用により、エリアごとに必要な部材はすべて据え付けながら一筆書きで施工することができるため、施工者の負担を軽減し、生産性を向上することが可能に。