ワークデイは2026年2月10日、「AI活用の成果を活かしきれない企業の実態」についてのグローバル調査レポート「Beyond Productivity: Measuring the Real Value of AI」の結果を発表した。本調査は2025年11月、世界3,200名のフルタイム従業員を対象に実施されたもので、日本からも200名が参加している。
レポートによると、AIは業務効率化や生産性向上に寄与するものの、その成果を十分に享受できている従業員は14%にとどまる。特に、AIによって削減された業務時間の約4割が、AIによる低品質な成果物の修正や検証など「手戻り作業」に費やされていることが明らかになった。日本でも、AI活用による業務時間削減を実感している従業員が90%に上る一方、58%が週1〜4時間を手戻り作業に割いている状況だ。
調査ではさらに、AIの導入効果を最大化できる企業とそうでない企業の差も浮き彫りとなっている。先進企業では、AI活用によって生まれた時間を人財育成や職務内容の最適化に再投資し、継続的なビジネスインパクトへと転換。一方、多くの企業ではAI導入後も業務プロセスが更新されないまま、従業員に追加負担が生じている実態がある。特に25~34歳の若手従業員が、AIの手戻り作業に充てる時間が最も多い傾向が見られた。
人財育成の面では、日本のマネジメント層の69%が人財育成を最優先課題と認識しているが、スキル向上研修の拡充が実際に行われていると回答した従業員は48%にとどまる。AI導入による生産性向上の持続には、人財への戦略的な再投資が不可欠であることを示している。
また、AI活用を前提とした業務プロセスや職務内容の見直しが進んでいる企業は、日本では15%と、十分とは言えない状況にある。多くの現場では過去の職務設計のまま最新のAIツールを活用する必要があり、業務スピードと成果のバランスに課題を抱えている。
AIによる業務時間削減の恩恵の活用先については、日本企業の33%が人財育成に再投資している一方、43%はテクノロジー強化を優先。新たに生まれた時間を付加価値の高い業務へ転換させている企業は29%にとどまる。なお、生み出された時間の単なる業務量増加への転用は、効果最大化につながっていないことが指摘されている。
ワークデイは、AI活用の本質的な価値を引き出すためには、AIから生まれた時間を社員の判断力や創造性、付加価値の高い業務へのシフトに再投資することの重要性を強調している。今後、職務設計やプロセスの見直し、人財育成の拡充が、AI投資のROI向上に不可欠な取り組みとなる見通しだ。
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