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入山章栄氏と麻生要一氏による「新規事業の経営論」 イノベーションを阻む“社長の任期”と“ガバナンス”

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 「新規事業」の課題は変わりつつある。「事業が生まれない」という現場の課題から、生まれた事業を経営陣が評価できず、成長を阻害する新たな課題が浮上している。早稲田大学大学院 経営管理研究科 教授の入山章栄氏と、新著『新規事業の経営論』を上梓したアルファドライブ 代表取締役社長 兼 CEOの麻生要一氏が対談を実施。社長の任期が生む弊害や、社外取締役に求められる真の役割など、新規事業を「経営システム」として実装するための要諦を語った。モデレーターはブランドジャーナリズム 代表取締役の林亜季氏が務めた。

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新規事業を経営陣が「受け取れない」理由

林亜季氏(以下、林):麻生さんは前作『新規事業の実践論』でボトムアップの重要性を説かれましたが、今回の『新規事業の経営論』では、トップダウン、つまり経営の仕組みにフォーカスされています。なぜ今、「経営」なのでしょうか。

麻生要一氏(以下、麻生):アルファドライブを創業した2018年当時は、「新規事業が重要だ」と言われつつも、現場からは何も生まれていない状況でした。しかし、「生み出せ」と言われ続け、私たちも支援に入って伴走した結果、今は本当にとんでもないポテンシャルのある新規事業が現場から生まれてくるようになりました。ところが、いざ生まれたら生まれたで、今度は経営陣が「それ、何のためにやっているんだっけ?」「うちの会社がやる意味あるの?」と言い出すケースが見られるようになりました。

株式会社アルファドライブ 代表取締役社長 兼 CEO 麻生要一氏
株式会社アルファドライブ 代表取締役社長 兼 CEO 麻生要一氏

入山章栄氏(以下、入山):わかります。やらせておいて突き放すケースは多いですよね。

麻生:そうなんです。「生み出せと言うから生み出したじゃないか」と。そうなると、もはや現場の責任ではありません。「せっかく可能性を秘めた事業が生まれたんだから、経営がちゃんと受け取ってくれよ」と強く思います。受け取る手法も、受け取るつもりもない中で「新規事業やれ」というのは、命がけで事業を創った社員に対してあまりに失礼です。

入山:それを言っているのはどのクラスですか?

麻生:担当の管掌役員は一生懸命なんです。問題は、それを受け取る「社内の経営ボードメンバー」ですね。

入山:私もいろいろな会社の社外取締役やアドバイザーを務めていて痛感しますが、日本の経営課題は本当に多い。「急に100億円の事業を創れ」と無理難題を言うことも多々ありますし、経営の体制そのものがイノベーションに向いていないことがほとんどです。

10年先の未来を創れない「社長の任期」問題

:なぜ経営陣は、生まれたイノベーションを受け取れないのでしょうか。

入山:理由は簡単で、「社長の任期が決まっている」からです。多くの日本企業では、2年2期や3年2期など、社長の任期が4年から6年程度で固定されています。新しい事業を創って、投資をして、リターンが返ってくるには10年、15年かかるので、任期内に成果をあげることはできません。

早稲田大学大学院 経営管理研究科/早稲田大学ビジネススクール 教授 入山章栄氏
早稲田大学大学院 経営管理研究科/早稲田大学ビジネススクール 教授 入山章栄氏

麻生:本当におっしゃるとおりですね。

入山:自分の任期が4年で終わるとわかっていたら、15年先に向けたリスクなんて取れません。それよりは「その4年を穏便に過ごそう」と考える。トップがそうなら役員も同じマインドになります。だから、口では「新規事業」と言うけれど、いざ追加投資で「200億かかります」となった瞬間に、「それできるの?」と腰が引けてしまう。

 本来、社長の任期というのは1年であるべきです。毎年株主総会で信任を問われ、結果が出なければクビ。逆に、結果が出るなら何十年やってもいい。

麻生:元ダイキン工業の井上礼之さんなどがそうですね。

入山:そうです、井上さんは約20年代表取締役を務められていました。私が社外取締役を務めるロート製薬も、山田邦雄会長が25年以上経営されているから、再生医療のような超長期の投資ができるんです。アクティビストファンドなどは数年単位で成果を求めますが、それに迎合しているだけでは未来は創れません。「長期政権=悪」ではなく、長期でなければできないイノベーションがあるということを理解すべきです。

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社長を「応援」し、時に「クビ」にする社外取締役の役割

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この記事の著者

梶川 元貴(Biz/Zine編集部)(カジカワ ゲンキ)

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