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「人的資本」に企業・投資家はどう向き合う?

「人的資本」を重視し始めた投資家──“人への投資”が、なぜ企業の生存を左右する指標となるのか?

第1回【前編】

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 「人的資本」の重要性が、日本でも広まりつつある。企業は、自社の人的資本の情報を、投資家をはじめとする社外のステークホルダーに公表しなければならない。しかし実際は、何をどう公表し、評価してもらえばよいのか、具体的な施策に悩んでいるケースが多い。
 本連載では、実際に人的資本経営を実践する企業や投資家から、具体的な実践ノウハウ、押さえるべきポイントをお聞きする。第1回【前編】では、連載の対談ホストであり、企業のコーポレートブランディングやIR、サステナビリティに関する社外へのレポート作成などを支援するリンクコーポレイトコミュニケーションズ 代表取締役社長の白藤 大仁氏に、近年の日本で起こっている人的資本を取り巻く動向や、企業・投資家が持つべき目線について伺った。

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なぜ「非財務資本」重視の潮流が日本でも?

──2020年9月、経済産業省が「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する報告書 ~人材版伊藤レポート~」を発行。人的資本経営の基本的な考え方を示しました。そして2021年6月には、改訂コーポレートガバナンス・コードにおいて、日本でも上場企業に対し人的資本の情報開示が求められるようになりました。

 人的資本をはじめ、非財務資本の情報開示の動きが世界中で加速しています。そもそも、この「非財務資本」が企業や投資家から重要視されるようになったのは、いつ頃からでしょうか。

白藤 大仁氏(以下、敬称略):まず、日本において“非財務資本”の考え方が興ったのは、1975年前後であると思われます。そのあたりから、企業が自社の有形資産と無形資産の比率などといったデータを公開し始めました。

 そして2015年、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がPRI(国連責任投資原則)に署名したことが、日本における近年の潮流の起点ではないかと考えています。

 昨今、少子高齢化などにより日本の年金制度が持続困難に陥るのではないかともいわれていますが、GPIFはお金を運用し増やすことで、今の若い世代にも年金を支払えるだけの力をつけようと考えたのです。そこで、GPIFは当時保有していた資産のうち、25%を国内株投資に充てることとなりました。

 そしてGPIFは、ESGを指標として投資を促進していくことを決めました。なぜなら、PRIの中で「投資分析と意思決定のプロセスにESGの課題を組み込むこと」「投資対象に対し、ESG課題の適切な開示を求めること」など、ESGに関する原則が明確に示されているからです。

 これを皮切りに、日本企業におけるESG経営や非財務資本への関心は急速に高まりました。

「人的資本」は、あらゆる非財務資本の根本となる

──人的資本は、「非財務資本」と呼ばれる項目の中でどういった位置づけになっているのでしょうか。

白藤:一般的に、非財務資本は「人的資本」のほか、「製造資本」「知的資本」「社会・関係資本」「自然資本」と全部で5つ項目があるといわれますが、人的資本に関する企業への要求事項は、まだ「すべての企業がここまで開示すべき・ここを目指すべき」という詳細なレベルまで定まっていません。非財務資本の中で人的資本をどこまで重要視するかという方針は、ある程度企業に委ねられています。

 ですから、現状ではどうしても気候変動問題など目に見えやすい分野が重視されがちです。しかし、人的資本の重要性は、間違いなく今後高まっていくでしょう。

──それはなぜでしょうか。

白藤:たとえば製造資本といっても、自社で製造設備を持たない企業もありますよね。また、ソフトウェアビジネスを展開する企業は、製造業などに比べるとそこまで自然資本に影響を及ぼしません。現在、5つの非財務資本は並列で語られる場合が多いですが、このように産業や事業モデルによって事情が異なるため、各項目に関する共通の指標は定めることが難しいのです。

 そこで、非財務資本の5項目の位置づけ・構造を見直そうという考えが広がり始めています。これまでの並列的な構造を改め、人的資本を「すべての非財務資本の根本に位置づけよう」という動きです。

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この記事の著者

名須川 楓太(Biz/Zine編集部)(ナスカワ フウタ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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