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「人的資本」に企業・投資家はどう向き合う?

「経営層の意識が変わった」 リアリティある人材戦略をつくり込み、早期に人的資本経営を実践すべき理由

第1回【後編】

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 本稿では、前編で白藤 大仁氏からお聞きした非財務資本、とりわけ人的資本の潮流・重要性をもとに、企業はどうやって「人的資本経営」を実践していけばよいのか。また、社外のステークホルダーが理解・共感できるような人材戦略のつくり方、伝え方について、具体的な実践ノウハウを伺った。日本企業の大きな経営変革課題ともいえる、人的資本経営への挑戦。経営陣の意識や責任・役割も、変わりつつあるという。

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人的資本の情報開示 先行企業が次に目指すステージ

──すでに人的資本の情報開示を行っていたり、明確な方針を公表していたりする日本企業もあるかと思いますが、先行企業は次に何を見据えているのでしょうか。

白藤 大仁氏(以下、敬称略):現在は、各企業がそれぞれの開示方針に基づいて従業員エンゲージメントを公開するなど、あくまで自社独自の取り組みとして人的資本の情報開示を行っています。そんな先行企業らが目指す次のステージは、「世界中の企業と相対化できるような方法で開示する」ことではないでしょうか。

 実は、ISO(国際標準化機構)が定めた人的資本に関する情報開示のガイドライン「ISO30414」では、企業が「~することが望ましい」という項目は定められているものの、取り組みの内容や成果基準については問われていません。

 ですから、先行企業が他社との相対化を目指して開示方法をアップデートしていくようになり、多くの企業が先行企業の情報開示に倣って追随するようになれば、このガイドラインが発展していき、やがて国内外におけるソフトローレベルのフレームワークになるのではないかと考えています。

現状の評価を気にせず、とにかく情報開示を始めるべき理由

──人的資本経営を実践する上で、課題や障壁となっていることは何でしょうか。

白藤:まず、従業員エンゲージメントをエンゲージメントスコアとして数値化した後、それを「実際に社外へ公表するかどうか」の判断に頭を悩ませることが多いと聞きます。

 たとえば、同じ業界内に「非常に高いエンゲージメントスコアを公表している他社」が存在する場合、自社のスコアを公表しにくくなってしまうのです。情報が数字で出てしまう以上、そういった気持ちが出てきてしまうのも無理はありません。

──実際、投資家は人的資本を、投資の大きな判断材料としているのでしょうか。

白藤:ほとんどの投資家は、従業員エンゲージメントを他社と比較して、企業に優劣をつけることはしないと思います。なぜなら、人的資本の領域に関する評価・判断は、まだ投資家の皆さんにも明確な基準がない上、業界ごとの相対的な数字で投資判断を行えるほどの開示が十分にされていないからです。

 しかし、だからこそ情報開示や人的資本経営への挑戦は、できるだけ早期に取り組んだほうが良いのです。多くの企業が開示を行うようになれば当然、投資家は相対的な基準で評価するようになりますからね。取り組みが遅れれば遅れるほど、手間や課題が増えていくかもしれません。

 また、早期から情報開示を行うことで、自社の成長過程を公表することもできます。開示したデータが決して業界内と比較して高い水準でなかったとしても、前年から着実に成長していれば、投資家は非常にポジティブな評価をしてくれるはずです。

 繰り返しにはなりますが、人的資本経営はいずれ、世界中の企業が取り組まなければならないものとなるはずです。そして人的資本とは、企業の持続的な成長に寄与するものであり、投資家も長期的な目線で、企業から発信される情報や開示データの変化を追っていくことになると思います。

 だから、たとえ現時点でデータが低水準など好ましくない状況だとしても、早期に開示を始めたほうが多くの利点を望めるのです。

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この記事の著者

名須川 楓太(Biz/Zine編集部)(ナスカワ フウタ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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