ガートナーは、世界のCEOおよび上級経営幹部を対象にした最新の調査結果を発表した。本調査では、人材、パーパス、価格、生産性に関するCEOの考え方が2022年に大きく変化することを示している。具体的には、サステナビリティ (持続可能性)、ワークフォース (人材)、インフレ (物価上昇) に対する考え方だという。
調査結果の要旨
- ガートナーのCEO/上級経営陣向けサーベイで初めて、「環境サステナビリティ」がビジネス優先課題のトップ10にランクインした。
- ワークフォース (従業員の定着などの人材関連) の順位は2年連続で上昇した。デジタル化やサイバーセキュリティといったテクノロジ関連の順位には、わずかに及ばなかった一方で、収益性やキャッシュフローといった財務関連よりは、優先順位が大幅に高い課題に挙げられた。
- CEOの63%は、メタバースについて、自社ビジネスに「適用できないテクノロジ」または「主要テクノロジになる可能性が非常に低い」と考えている。
メタバースは大半のCEOにとって重要ではない
CEOは、最も影響を及ぼす新規テクノロジとして、3年連続で人工知能(AI)を挙げている。一方、メタバースについては、CEOの63%が、自社ビジネスに「適用できないテクノロジ」または「主要テクノロジになる可能性が非常に低い」と回答(図1参照)。
環境問題がCEOのビジネス優先課題のトップ10にランクイン
本調査では、CEOを対象としたガートナーのサーベイ史上初めて、環境サステナビリティがCEOの戦略的なビジネス優先課題のトップ10にランクインし、8位に位置付けられた。環境サステナビリティの順位は、2019年の14位、2015年の20位から大幅に上昇している。
CEOの74%は、ESG (環境、社会、ガバナンス) への取り組みの強化によって投資家に自社の魅力を高められると考えている。2022年から2023年にかけて、プロダクトの新規開発/改善に投資予定と回答したCEOの割合は80%。さらに、そのような投資の必要性を高めている要因を尋ねたところ、環境サステナビリティは、「機能/性能」「一般的な品質」の課題に次いで3番目であった。また、競争上の差別化要因について上位2つを尋ねた設問では、CEOは環境サステナビリティと「自社ブランドへの信頼」を同等レベルに挙げているという。
CEOはインフレを恒常的な課題と捉えている
CEOの62%は、一般的なインフレを恒常的な課題もしくは長期的な課題と捉えている。これに対するCEOの最大の対応策は、生産性向上と効率化 (回答者の22%) ではなく、値上げ (回答者の51%) だという。実際、生産性向上と効率化は、2022年のCEOのビジネス優先課題のトップ10にも入っていない。