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量子コンピューティングが製造領域にもたらす可能性──慶應大田中准教授が産学連携での研究状況から解説

Biz/Zine Day 2022 SummerレポートVol.10

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なぜ今「量子コンピューティング」なのか

 今や一般紙でも「量子技術」「量子コンピューティング」の文字を見ない日はない。「これは研究者からすれば、数年前まで考えられなかったこと」と田中氏は言う。

 なぜここまでの盛り上がりを見せているのか。それは、日本がここ数年で国として量子技術に力を入れていく方針を明確に打ち出しているからだ。

 2020年1月に策定され、今年4月に改訂された「量子技術イノベーション戦略」では、量子技術の研究開発や量子拠点の整備が謳われている。また、同じく今年4月の「量子未来社会ビジョン」では、そうした量子技術を用いることでどのような社会変革が起こせるか、成長機会創出や社会問題解決にどうつなげられるかといったことも語られている。

 田中氏は、量子技術の中でも特に量子コンピューティングに注目して研究に取り組んできた。量子コンピューティングには、ある特定の問題に対して情報処理時間を圧倒的に短縮できる強力な計算技術としての期待が集まっているという。

目指すべき情報処理の高度化
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 量子コンピュータにはイジングマシン、NISQ(Noisy Intermediate Scale Quantum)デバイス、誤り耐性あり量子コンピュータなど様々な種類があるが、大きく「ゲート方式」と「アニーリング方式」の2つに分類できる。今回田中氏が取り上げたのは、日本のハードウェアベンダーが力を入れていることでも知られる後者。

 量子アニーリングなどのイジングマシンは、多様な場面に内在する「組み合わせ最適化処理」を高速・高精度に行うと期待されている。組合せ最適化処理とは、「膨大な選択肢から」「制約条件を満たし」「ベストな選択肢を探索する」ことを言う。

 スケジューリング、配送計画、スマートシティー、集積回路設計など、社会課題の中には様々な組合せ最適化処理の問題が潜んでいる。来るIoT社会、Society5.0、DX時代、カーボンニュートラル時代においては、その重要度はさらに増していくと田中氏は言う。

量子アニーリング等イジングマシンに対して期待されていること
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鈴木 陸夫(スズキ アツオ)

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