トヨタ・モビリティ基金(以下、TMF)、デンソー、東京海上日動火災保険(以下、東京海上日動)、東京大学大学院新領域創成科学研究科(以下、東京大学)は、高齢者の安全運転支援を目的とした実証実験を愛知県豊田市で開始する。
同実証実験は、豊田市の交通死亡事故ゼロを目指した官民連携事業「ジコゼロ大作戦」の一環として実施。ドライブレコーダーから収集した映像などをAIで分析し、安全運転のためのアドバイスを行うAI運転診断システムを活用して、高齢者の事故リスク低減を実現する方法を検証するという。
実証実験の概要は以下のとおり。
AI運転診断システムの特徴
運転中の車内外カメラ映像やセンサーデータを常時ドライブレコーダー内のSDカードに記録して分析。ドライブレコーダーのイベント録画機能を使って衝突時の車内外データを解析するサービスは普及しているが、同システムでは記録データを全て解析するため、日常のリスクシーンや運転の癖などの潜在的なリスクまで解析が可能だという。解析データをもとに、ドライバーにフィードバックを行うことで行動変容を促進し、リスクに結びつく運転特性の改善や事故の抑制に働きかけるとしている。
豊田市における実証実験の内容
- 想定参加者数:豊田市在住の60歳以上の人 計3,000名程度
- 実施時期:2022年10月~2024年4月
- 運営:豊田都市交通研究所
- 方法:参加者は、4ヵ月間ドライブレコーダーをつけて運転し、運転データを記録。AIが映像を解析し、毎月参加者に運転診断結果・アドバイスを提供する
実証実験の主な役割
- トヨタ・モビリティ基金:プロジェクト全体の企画・運営
- デンソー:AI運転診断システムの構築・運用
- 東京海上日動:ドライブレコーダーの提供と、運転結果フィードバックに関するデータ解析結果の検証支援
- 東京大学(大学院新領域創成科学研究科 小竹元基准教授):高齢者の運転行動分析と移動支援方策にかかる知見・アドバイスの提供
- 豊田市:ジコゼロ大作戦の一環としての実証実験遂行、市民参加に向けた環境の整備
4者は今後、高齢者への啓発活動に加え、新たな技術や視点の導入を通じて、「交通事故死傷者ゼロ社会」の実現に向けて取り組みを推進するとしている。