日本電気(以下、NEC)と石坂産業は、再資源化処理を行う石坂産業のプラントにおいて、ローカル5GとAIを活用してスマートプラントの実現を目指す実証実験を実施した。
同実証には、ローカル5G構築やAI実装を支援するインテルも参画。ローカル5Gの高速・大容量・低遅延の特長を活かして、重機の稼働状況や廃棄物の処理量をリアルタイムで可視化し、作業効率の改善検討やリスクの把握を実施した。また、重機の遠隔操縦により、作業の効率化・省人化に加え、過酷な現場から離れた安全・安心な作業環境の実現に向けて検証を行った。
実証実験の詳細は以下のとおり。
プラント内の作業状況の可視化
廃コンクリート処理プラント内に、インテルXeonプロセッサー搭載サーバを活用したローカル5Gの仮想化無線ネットワーク(vRAN)環境を構築し、作業エリアと重機に設置したカメラやセンサからリアルタイムにデータを収集。また、インテルCoreプロセッサー搭載パソコンを用いて、現場での作業状況の把握、作業データの数値化、作業安全性の確認に関する実証を行った。
プラント内の重機・ピット状況の可視化
重機の動きやピットの状況をセンシングし、ディスプレイ上に再現して可視化。リアルタイムに状況を判別することで、重機に無駄な動きがないか確認でき、改善ポイントの発見や業務効率化の検討につながったという。
作業状況の可視化
重機やピットに設置したセンサにより、作業状況を数値化して分析。具体的には、主要業務(ホッパーによる廃棄物の投入)と間接業務(粉砕や積替え)の割合、廃棄物を荷下ろししてから再資源化処理するまでの作業推移と廃棄物の1次処理にかかる時間を可視化した。これにより、現場での目視でしか把握できなかった作業状況を定量化でき、1時間における廃棄物の投入量・投入平均回数や粉砕時間などを把握することで、作業効率の改善施策の検討につながったとしている。
現場リスクの可視化
プラント内の危険区域に接近した人物を映像解析AIで常時把握するとともに、重機のエンジンの状態をモニタリングすることで、リスクを可視化。管理者が遠隔で現場を確認できることで、接触事故のリスク低減と安全性の担保が可能になったという。
重機の遠隔操縦
混合廃棄物処理プラント内に、インテルXeonプロセッサー搭載サーバと無線技術を活用した重機の遠隔操縦環境を構築し、混合廃棄物を再資源化プラントに投入する際の安全・安心な作業環境を実現。具体的には、プラント内と重機に設置した8台のカメラ映像をインテルCoreプロセッサー搭載パソコンで処理し、NECのネットワーク予測・制御AIである適応遠隔操縦システムを活用して、安定した遠隔操縦を実現した。
また、粉塵が多く、ベルトコンベアーなどの機器が複雑に設置されたプラント内環境のローカル5G電波環境の情報も収集。入り組んだ場所での無線状況を把握することで、利用エリアの拡大や新たな用途での効率化・省人化の実現に向けて、多くの知見を得られたという。
各社の役割
- NEC:AIや遠隔・自律制御技術の導入、ローカル5G環境の構築、ローカル5Gによる大容量データ活用の提案と実証
- 石坂産業:廃棄物処理プロセスにおける知見の提供、実証実験のための処理プラントの提供
- インテル:インテルXeonプロセッサーをはじめとした様々なコア技術の提供、ローカル5G構築やAI実装の支援