生成AIが「働き方」にもたらす影響。人に求められるスキルとは
ZVC JAPANの代表取締役会長 兼 社長の下垣 典弘氏による挨拶で幕を開けた、働き方改革サミット。同氏は、ZoomがジェネレーティブAI(以下、生成AI)を取り巻く動向に強い関心を示していること、そして既にZoomのミーティング画面上でのバーチャル背景や、クローズドキャプションの表示などに生成AIを取り入れていることを紹介し、Keynoteへとバトンをつないだ。
Keynoteに登壇するのは、Zoomの最高製品責任者を務めるSmita Hashim(スミタ・ハシーム)氏と、RPAとAIを組み合わせたソフトウェアの概念「インテリジェントオートメーション」を提唱した著書『INTELLIGENT AUTMATION』がベストセラーとなった米国の作家 Pascal Bornet(パスカル・ボーネット)氏だ。両氏は、「生成AIが働き方に与えるポジティブな影響と、活用時の懸念点」をテーマに意見を交わした。
まず語られたのは、業務の効率化について。たとえば、メール作成やルーティン業務などの省力化が挙げられる。また、生成AIが人間の意思決定をサポートすることで、より多くのインサイトを得られるようになることが期待されている。
しかし、懸念点も存在する。それは、AIが出す情報の偏りや正確性などの問題だ。ボーネット氏は、「生成AIが出す回答は、必ず人が責任を持って確認する必要がある」と強調する。どんな答えが出てきたとしても、最終的な判断を下すのは“人”でなければならない。こうした心構えも含めてボーネット氏は、個社で社内にAIの専門チームを設置し、各部門へAIリテラシーの教育をすることが必要だと語る。
次に、ビジネスパーソン一人ひとりにとっては、具体的にどのような生成AIの活用方法が考えられるのか。ボーネット氏は、生成AIに「自身が苦手な部分をサポートしてもらう」方法を提案した。
「たとえば皆さんがプロジェクトメンバーを集める際、プレゼンが得意な人やデータ分析ができる人など、それぞれ異なるスキルを持った優秀な人物や、自分の弱点を補強できる人物を集めますよね。生成AIにも、そういった役割を求めることができるでしょう」(ボーネット氏)
そして最後に語られたのは、生成AIとともに生きる今後のビジネスパーソンが持つべきスキルについて。それは、①新しいものを生み出す「創造力」、②人と協業する「リレーションシップ」、③答えを確立するための「判断力」だという。そして、AIが持ち得ない人間独自の「感情」を大切にし、AIの得意・不得意を理解しながら、常に学び進化していく必要があると語り、次のセッションへとバトンを託した。