グロース・キャピタルは、上場企業役員174名を対象に、「新NISAと個人投資家向けIR 上場企業役員調査」を実施し、その結果を発表した。同調査は、新NISAの上場企業への影響と、上場後のスタートアップにおける企業価値向上に影響がある「個人投資家向けIR」の実態について把握するために実施したという。
調査概要
- 調査名:新NISAと個人投資家向けIR 上場企業役員調査
- 集計期間:2023年6月7日~7月31日
- 調査対象:上場企業役員(取締役、執行役員など)174名
- 調査方法:Web実名アンケート
新NISAによる国内個別銘柄の売買における影響
約7割の上場企業が国内個別銘柄の売買が増加すると見込む
上場企業役員の約7割が、国内の個別銘柄の売買が増加する(「特定の企業で増加」と「全体的に増加」を合わせた割合)と回答した。このことから、新NISAにより「個人投資家の存在感が高まると考えている」発行体が多いことがわかる。また、「特定の企業の個別株の売買が増加する」と4割が回答。新NISAにより特定企業への「注目格差」が高まると考える発行体が多いことも推察されるとしている。
新NISAをきっかけとした個人投資家向けIRの変化
約2割の上場企業役員が新NISAをきっかけに個人投資家向けIRを「積極化」
約2割の上場企業役員が、新NISAをきっかけに自社の個人投資家向けIRを「積極化」していくと回答。一部の企業では、すでに新NISA後の個人投資家に着目していることがうかがえるという。
個人投資家向けIRの課題
最も大きな課題は「施策による効果・結果の測定のしづらさ」(約6割の上場企業役員が回答)
半数以上の上場企業役員が「施策による効果・結果が測定しづらい」と回答した。投資対効果が見えないために、IRの取り組みに本腰を入れられていないジレンマがあると推察されるとしている。
個人投資家向けIRにおいて重要だと思うこと
「経営層による戦略・メッセージのわかりやすい発信」(約6割)と「認知を高めるためのIR施策の実施」(約5割)を重要視
1位は「経営層による戦略・メッセージのわかりやすい発信」(64.4%)、2位は「IR施策(SNS発信、説明会、メルマガetc.)の充実」(47.7%)だった。IRコミュニケーションにおいて、メッセージの「洗練」と「伝達」に課題感があることが確認できたという。