釣りをテーマにニュースサイトとアプリで勝負
--カズさんが始めるビジネスについて説明してください。
カズ: 弊社がやろうとしているのは、「釣り×IT×デザイン」をテーマにした事業です。例えば飲食店を探したかったら多くの人たちは食べログ、ぐるなび、Rettyなどを見るわけで、そこには定番と呼べるサイトがあります。ただ、「釣り」という分野においては釣具を探す、もしくは釣り場を探すなんていうときに、定番と呼べるサービスはなくて、インターネットを始めとしたテクノロジーが生かされているとは言いづらい状況です。そこで、直近では釣り人向けのニュースサイトとスマートフォンアプリの開発・運営を行っています。これらは単純に自分が釣りをする上で不便さを感じていたので、もっと釣りを便利に、楽しくしたいというところから始めました。第一弾は「釣報 [ツリホウ]」という釣り人向けのニュースサイトです。今年(2015年)の5月からスタートしたんですが、ここまでかなり順調にPVが伸びています。釣り関連情報のWebメディアとしてはトップを目指しています。また、第二弾のプロジェクトとして「ツリバリカメラ」というスマートフォンアプリをリリースしました。これは釣った魚の写真を共有することに特化したカメラアプリです。インスタグラムのような写真共有SNSをイメージしていただくと分かりやすいですが、釣果に特化している点が大きく異る部分です。例えば投稿するときに魚の種類やサイズ、何のエサやルアーで釣ったかなどの情報がつけられて、それを後から分類して表示できたり、マップ上でどこで釣ったかを見ることができます。
本松: サーフィンの場合、サーフスポットってWebで状況はわかるのですが、確かに良い釣り場の情報を得るのは難しいよね。
カズ: 玄人の方はそもそもとっておきの釣り場があったりしますが、だいたいの釣り人って釣具屋さんに行って買うついでに、「最近この辺どこが釣れているの?」って店員さんに聞いてどこに行くか決めたりするんですね。でもその店員さんが持ってる情報ってそこまでサンプル数多くないんです。例えばツリバカメラのアクティブユーザー数が10万人になったら、週1回みんなが投稿したら1週間で10万サンプルになる。どちらが精度が高い情報かは言うまでもないですよね。これを僕は「釣果のビックデータ」って呼んでいます。実際に釣れた魚のデータを収集する。これがサービスの核となる部分です。
--釣りって意外とマイナースポーツのような扱いを受けている中では、市場はありそうですよね。
カズ: 消費額ベースで年間4500億円ほどって言われています。釣り具の販売だけだと1000億円くらいなんですけど、移動したりとか、関連する消費がすごくたくさんあるので。うちのサービスには最終的に広告を掲載できるようにする予定ですが、釣具メーカーだけじゃなくて車メーカーとかも広告を出す可能性があります。アウトドア向きの車が発売されると、けっこうキャンプとか釣りとか、そういうアウトドア系のメディアと組んでプロモーションやりますよね。そのあたりの需要も狙って行きたいと思ってます。
本松: 軽自動車って以前はサーフボード積むCMばっかりだったけど、最近は釣り具積むCMも増えてきてますしね。カズさん自身もずっと釣りが好きだった?
カズ:実はまだここ2、3年くらいですね。デザイナーの友達に誘われて東京に住んでるときに始めて、はまってしまって。なのでまだまだ釣り人としては初心者です。僕自身のルーツはどちらかと言うと音楽ですね。大学は音楽大学を出てまして、在学中からやっていたバンドで、卒業して2年目ぐらいまでインディーズで活動してました。24歳まではミュージシャンです。クラブジャズっていう、ジャズの中でもちょっと若者向けで、リズムがテクノとかハウスとかヒップホップとかを取り入れて上物はジャズのサウンドなジャンルがあるんですが、それを演奏するバンドをやってました。今は音楽はやっていませんが、いまだにフジロック出たいなとは思ってます(笑)。
本松: 釣り好きでミュージシャンでそこからGrowってサービス立ち上げて、また新たにスタートアップって飛躍してますね。
カズ: 僕はもともと中学生の頃から独立したかったので、実は起業願望が先なんです。いまだに覚えているんですけど、家庭訪問で先生が来て、将来何になりたいんだって言われたときに、「自営業がいい」って言ったんですね。それ職種じゃないだろう、みたいな(笑)。当時から自分がどこかの会社に就職してやっていけるイメージはなくて、独立志向が強くて、ずっと自分で何かやりたいなと思っていました。バンド活動もそのひとつではあったんですが、なかなか音楽で食べていけるイメージはつかなくて、やるならWebだなと思って、Grow!を始めました。サービス自体は立ち上げた当時は話題にはなったんですけど、運営の方がうまく行かなくて行き詰まってしまったんですよね。あのときの反省を今回に生かせればと思っています。