EY Japanは、企業のサステナビリティ経営の加速を支援する新しいESGデジタルプラットフォームを開発し、サービスの提供を開始すると発表した。
同サービスは、企業が保有するESG関連データを利活用し、ESGトレンド調査、マテリアリティ分析、ESG中長期戦略策定、非財務KPI策定とモニタリングといった、企業のESGの取り組みを包括的にワンストップで支援するものだという。
日本ではコーポレートガバナンスに関する報告書、世界ではTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)、ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)、CSRD(企業サステナビリティ報告指令)、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)などの開示要求が進んでいる。また、経済産業省の「サステナビリティ関連データの効率的収集と戦略的活用に関するワーキング・グループ」においては、「サステナビリティ経営の実践のためには、財務データに加え、サステナビリティ関連データも含めて、様々なデータを経営戦略(モニタリング、分析、意思決定等)に積極的に活用していくことが重要」と指摘し、データ利活用の有用性について提唱しているという。
このような変化する社会動向にタイムリーに対応するには、企業内のIT基盤・プラットフォームを用いたデジタル活用が不可欠だと同社は述べている。
ESGデジタルプラットフォームの特徴
ESGデジタルプラットフォームは、EYのグローバルネットワークにおいて開発したアセットと、日本独自で開発したアセットを組み合わせて構成されているという。日本語化対応したほか、日本でニーズの高いGRI(Global Reporting Initiative)やTCFDなどの枠組みに対応するだけでなく、EU域内の大企業、上場企業が対象となるCSRDなど欧州・米国などの基準にも準じ、グローバルで事業を展開する企業にも適応可能だとしている。
開発に当たっては、日本企業への支援で培った知見を活用しているため、GHG排出量結果、排出係数など日本の現状に即した実測値を用いてデモンストレーションを実施し、手戻りのリスクを最小化した実導入が可能だという。
以下4つの機能から構成されている。
- データ統合・可視化:Microsoft Cloud for Sustainabilityをベースに、様々なデータソースから非財務情報を収集・分析し、「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(ガバナンス)」別に社内状況を可視化する機能
- 算出・予測:CO2排出予測や改善施策によるインパクトを可視化するシミュレーション機能
- レポーティング:非財務情報のKPI管理とレポーティングを支援する機能
- ベンチマーキング:同業他社との比較分析ができる機能
ワークショップ型プログラム
EY wavespaceという新たなイノベーションを実現するためのスペースで、ESG戦略策定や課題の特定、同デジタルプラットフォームのPoV(価値実証)が行える、最長2日間のワークショップ型プログラムも同時に提供を開始するという。
プログラムでは、クライアントとEYが、インタラクティブに議論してデジタルプラットフォームの価値を実証。デジタルプラットフォームをどう活用していくか、どうカスタマイズする必要があるか、またデジタルプラットフォームを通してESG戦略をどのように考えるかなど、クライアントの取り組み状況や課題に合わせ、0.5日~2日の複数プログラムをベースに、広範なアジェンダに対応すると述べている。