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人的資本経営の本質

新規事業を生み出し、急激に成長する組織を支える、Sansanの人事施策とは

第5回

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 第1回で人的資本経営の本質的な施策に関する考え方や事例、第2回で人事と経営をつなげる「報酬テック」、第3回で「報酬テック」を使ったデータ主導型のタレントマネジメント手法を紹介してきた本シリーズ。今回のゲストは営業DXサービス「Sansan」や名刺アプリ「Eight」、インボイス管理サービス「Bill One」を提供しているSansan株式会社の人事本部採用統括部 部長の長幸次郎氏、人事本部 CHRO室 室長の田中洋一氏。株式会社PROJECT COMP代表取締役の田川啓介氏が、プロダクト開発のフェーズと組織の形、人材市場にアピールする報酬体系などについて聞きました。

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自社開発のプロダクトで急激に成長してきたSansanの組織体制

田川啓介氏(以下、田川):Sansan株式会社は2007年に名刺の資産化を目指して創業され、企業向けのプロダクトSansanに加えて2012年からはビジネスパーソン向けの名刺管理アプリEightの提供を開始されました。2020年5月からはあらゆる請求書をオンラインで受け取り、企業全体の請求書業務を加速するインボイス管理サービスBill Oneの提供も開始されています。順調に事業成長されているように見ています。

長幸次郎氏(以下、長):ありがとうございます。2024年5月期第3四半期の売上高は85.1億円で、前年同期と比べると34%増で推移しています。Sansanは名刺や企業情報、営業履歴を一元管理して全社で共有できるようにすることで、売上拡大とコスト削減を同時に実現する「営業DXサービス」に進化しており、年間経常利益は約200億円、導入企業は9,000社を突破し、シェアも売り上げベースで82.4%と、堅調です。Bill One事業に関してはT2D3を超える勢いで成長しておりまして、年間経常利益は68億円を突破しています。順調な推移を受け、2024年5月期末の売上目標を70億円から75億円に上方修正しています。

田川:事業の柱はSansan事業とBill One事業、それからEight事業ですよね。M&Aで事業拡大をするというよりも、自社で新規事業を作って伸ばすことをメインにされているという認識でよいでしょうか。

:そうですね。既存サービスとシナジーを創出できそうな場合に、M&Aを検討・実施するというスタンスです。

田川:右肩上がりで成長するなかで、組織の形も変わってきたのではないでしょうか。

田中洋一氏(以下、田中):コロナ禍前から数回は変わっています。コロナ禍前はSansan事業、Eight事業、Bill One事業とプロダクトごとの事業部制をとり、その中に開発、クリエイティブ、営業、マーケティングのチームが所属していました。コロナ禍になって対面での名刺交換の機会が減少することが予想されたため、まずは前々から開発し始めていたデジタル名刺を、予定を前倒して2020年夏にリリースしました。その後、2021年6月にいったん組織をマルチプロダクト体制に変えています。

:Sansanは名刺管理マーケットを作って事業を展開してきましたが、「出会いからイノベーションを生み出す」というミッションを掲げているのに、名刺だけでそれを実現できるのかという議論が以前からありました。コロナ禍とは関係なくBill Oneや、契約データベースContract Oneなど、新規事業の種を仕込んでいました。そしてコロナ禍になり、時流が大きく変わった際、事業拡大の機会を最大化するために体制変更を行うことにしたのです。

田中:2021年夏からは、開発部隊は「技術本部」、営業部隊はB to Bの全プロダクトを対象にする「ビジネス統括本部」、そしてプロダクトごとのクロスファンクション組織である「プロダクトUnit」の3つにわけました。プロダクトUnitは、たとえば「Sansan Unit」、「Bill One Unit」のように、プロダクト単位で分割する体制としました。

:マルチプロダクト体制は、様々なプロダクトがあるなかで、営業、開発、マーケティングのリソースを最適化し、より伸びるものに投資したり、アーリーフェーズのものは検証を行ったりしやすくするための組織変更だったと思います。社内でプロダクト競争が生まれるような状態を作れていました。

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この記事の著者

フェリックス清香(フェリックスサヤカ)

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