矢野経済研究所は、国内のデジタルコンテンツ市場を調査し、市場概況、主要企業動向を明らかにした。
デジタルコンテンツ市場は、スマートフォンまたはPCなどを通してインターネットで利用できるサービス全般(SNS、電子書籍、動画配信、音楽配信、映画・テレビ、インターネット広告、ゲーム、情報配信サービス、NFT)を指し、各分野においてさまざまなサービスが広がっている。
電子書籍市場は、有料コンテンツと無料コンテンツに分かれる。有料の場合は、月額もしくは年間料金を支払うことで定期的にコンテンツ購入に使えるポイントが一定額配布される「定額課金モデル」、1巻(冊)ずつ購入の「都度課金モデル」、読み放題の「サブスクリプションモデル」がある。
購入以外では、広告により収益を上げる「広告収益モデル」の「無料マンガ」がある。「定額課金モデル」もしくは「都度課金モデル」でもさらなる「課金」につながるよう、無料で過去作品・おすすめの漫画を配信するビジネスモデルが一般化している。
また、「サブスクリプションモデル」は、特に雑誌の発刊頻度が高いため電子化が進んでおり、複数の雑誌を掲載するサイト・アプリが多数展開されている。紙媒体から電子書籍へとシフトが進み、今後も市場規模は拡大していくと同社は述べている。
動画配信市場は、サブスクリプションサービスへの需要が高まる一方で、広告収入ベースの無料視聴型動画配信サービスも定着し、マルチチャネル(複数媒体)展開が一般化している。
コンテンツ拡充のために、さまざまなサービスにおいてオリジナル作品の制作に力が注がれている。また、視聴デバイスの種類の拡充や入退会の容易性、わかりやすい料金体系などユーザビリティーの向上などによるサービス力も高まっており、市場拡大に大きく寄与している。
音楽配信市場は、主にサブスクリプション(定額制型)音楽配信サービスの浸透により拡大している。コロナ禍でコンサート活動ができなくなったアーティストらが、無料の動画プラットフォームなどの動画も含めた音楽配信を積極的に行うようになったことも相乗効果となった。
また、メジャーもインディーズも、オンラインや音楽サービスをベースとした有償コンサートの実施や動画配信をセットとすることも一般的になり、アーティストにとってオンラインが収入を得る手段・場所として定着した。
インターネット広告市場は、2023年においては、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行したことにともなう消費活動全体の活性化を受け、引き続き高水準となった。Web動画広告制作の需要は底堅く、中でも動画サイトやアプリなどのコンテンツ内に表示される動画広告は好調に推移している。
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