個人の成長をどう加速するか。経験を学びへと昇華させるサイクルとは
成長の鍵を握る内省:経験を学びへと深化させる
一般的に、経験を通じて人が成長していくうえで、得られた経験を振り返り、深く考察する「内省」という行為が非常に重要であると言われています。私たちは、日々の業務やプロジェクトの中でさまざまな経験をしていますが、ただ経験するだけでは、そこから深い学びを得ることはできません。経験したことを改めて見つめ直し、「なぜうまくいったのか」「何が課題だったのか」「次に活かせることは何か」といった問いを自らに投げかけることで、経験は単なる出来事から、自身の成長を促す貴重な糧へと変わります。デイビッド・A・コルブが提唱した「経験学習サイクル」という理論では、この内省のプロセスが具体的経験と教訓化を結びつける、まさに成長の鍵となる部分だとされています[2]。

しかしながら、日々の業務に追われる多くの組織において、この内省の時間が十分に確保されていない現状を私たちは目の当たりにしてきました。多忙を理由に、あるいは振り返る習慣がないために貴重な学びの機会を逃し、場合によっては同じ失敗を繰り返してしまう。