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ビジネスアーキテクチャーを表現する“概念モデル”

第2回

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概念モデルで表現された大きな柱の関係性に注目する

 次に、ビジネスアーキテクチャーを構成する3つの層のそれぞれについて、4つの大きな柱の内部的な関係性を見ていきましょう。

 ビジネスモデルにおけるプロダクト革新や顧客インターフェースは、事業体のオペレーション基盤に基礎を置きます。また、顧客インターフェースは財務構造に収益をもたらすと同時に、オペレーション基盤はコストを発生させます(図5)。最終的には、収益からコストを引いた利益が事業体の存続と成長のための源泉となります。したがって、この4つの柱を適切に設計していくことが非常に重要であることは自明の理ですね。

ビジネスモデルの4つの柱の間のリレーションシップ図5.ビジネスモデルの4つの柱の間のリレーションシップ

 2つ目は、ビジネス計画を描写するモチベーションモデルの4つの柱の内部的な関係性です。これは、一般的な事業計画の手順でご説明すれば理解しやすいでしょう。つまり、事業体は自身のビジネスに作用する外部および内部の影響要因を洗い出した後、強みや弱み、機会や脅威を評価するとともに、重要成功要因(CSF)を決定します。そして、最終的にゴールや目標を定め、それを達成するための戦略や戦術といった手段を選択していくことになります(図6)。

モチベーションモデルの4つの柱の間のリレーションシップ 図6.モチベーションモデルの4つの柱の間のリレーションシップ

 3つ目は、ビジネスの実行、つまり、日々の業務オペレーションの構造を表現するためのケイパビリティモデルです。前回、ケイパビリティとは、日々の業務において「何をしなければならないのか?」あるいは「何のためにそれをしなければならないのか?」に対する回答を提供するものであり、目的の達成と手段の採用のために必要なビジネスファンクションの実行能力であるとお話ししました。

 たとえば、日本国内で営業職員や代理店を通じて、保険商品を販売している保険会社を考えてみましょう。この保険会社は、「保険商品を販売する」というファンクションを持っているでしょう。この保険会社が、アジア諸国に進出するという戦略やインターネットで販売するという戦術を策定したとすれば、そのための新たなケイパビリティを構築しなければならないでしょう。

 ケイパビリティ構築のためには、「見つける」「育てる」「借りる」「買う」という大きく4つの方法があります。借りるとは他社とのパートナーシップなどを構築することであり、買うとはM&Aのことを指します。

 さて、上位概念としてのケイパビリティ(この例で言うと「保険商品を販売する」)は、事業領域を大きく変えることがない限り、その事業体にとっての安定したビジネス要素としての基礎となります。一方、プロセス、ロジック、情報、組織というビジネス要素は、環境変化やビジネス計画によって変化していきます。したがって、建築物の免震構造と同じように、ケイパビリティという安定した土台の上に、これらの4つのビジネス要素をカプセル化させることが、理に適った考えではないでしょうか(図7)。

ケイパビリティモデルの4つの柱の間のリレーションシップ図7.ケイパビリティモデルの4つの柱の間のリレーションシップ

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ビジネスアーキテクチャーを構成する「3つの層」の連携

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この記事の著者

白井 和康(シライ カズヤス)

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