発表された主な内容は次のとおり。
1. OECDデータなどを用いた労働生産性の国際比較
2014年の日本の労働生産性(就業者1人当たり名目付加価値)は、72,994ドル(768万円/購買力平価(PPP)換算)。順位をみるとOECD加盟34か国中、第21位だった。2005年から21位の状況が続いており、主要先進7か国でも最低水準となっている。
また、就業1時間当たりでみた日本の労働生産性は41.3ドル(4,349円)。ニュージーランド(39.4ドル)をやや上回る水準にあたり、OECD加盟34か国の中では、第21位となっている。
2. 2014年度の日本の労働生産性の動向
2014年度の日本の名目労働生産性は770万円。名目ベースでは上昇したが、物価変動を加味した実質(-1.6%)では前年度から2.8%ポイント低下し、5年ぶりのマイナスとなった。
2014年度の労働生産性上昇率はマイナスとなったものの、10~12月期以降をみると、四半期連続でプラスが続いている。ただ、足元の2015年7~9月期には±0%に落ち込むなど、弱含みで推移している。
3. 主要国の全要素生産性(TFP)の動向など生産性の現状
OECDデータベースから、2010年代(2010~2013年/年率平均)の日本の全要素生産性(TFP)上昇率をみると+0.8%だった。OECD主要19か国の中では、韓国(+1.6%)、オーストラリア(+1.0%)、ドイツ(+0.9%)に次ぐ第4位となっており、米国(+0.3%)やフランス(+0.5%)を上回っている。
なお、労働生産性とは、労働者1人当たりで生み出す成果、あるいは労働者が1時間で生み出す成果を指標化したもの。労働者がどれだけ効率的に成果を生み出したかを定量的に数値化したものであり、労働者の能力向上や効率改善に向けた努力、経営効率の改善などによって向上する。労働生産性の向上は、経済成長や経済的な豊かさをもたらす要因とみなされているという。
また、全要素生産性(Total Factor Productivity/TFP)とは、一般に工学的な技術革新・規模の経済性・経営の革新・労働能力の向上などで引き起こされる「広義の技術進歩」を表す指標とされている。全要素生産性の上昇は、経済成長や労働生産性向上の源泉となっており、(潜在成長率を上昇させ)経済成長を今後持続させていく上でも、重要視されるようになってきている。