(4)共感を生むベクトルの範囲の発見
続いては、アイデアがちょうどよい新しさの範囲に収まっているかを見極める段階です。自分にとって難しすぎず、かつ新しい挑戦だと思えること。自社にとっては、これまでの事業の延長線上にありながらも新しい価値提案だと言えること。そして顧客にとっては、これまでの体験の延長として無理なく受け止められる新しさであること。この3つがそろう範囲を見つけることで、自分自身を含めた関係者からの共感を得られる変革の方向性が定まります。
(5)現実把握によるバイアスからの脱却
成功裏に新事業構築を為し得た人は、ここで早期にアイデアを具現化(試作など)し、現実の現場で検証することを試みます。それによって自分たちのビジョンの問題点を見つけ出し、改善を重ねて自分たちの思考の誤りを正していきます。
(6)他者のバイアスの破壊からの共感の獲得
本論文の最大のハイライトとも言えるのがこの段階です。言葉の表現工夫による他者のバイアスの破壊、具象的な表現での五感刺激、シンプルな論理による共感の獲得、情動への働きかけによる共感の獲得といった技が総合的に使われ、人々を説得していきます。
ビジョンを浸透させる際、経営者などのトップは抽象的で壮大な概念でも組織を動かすことができます。しかし、権限に制限があるミドル層が抽象的なことだけを言っても誰も動きません。ミドルが共感を得るためには、言葉による説得ではなく「他者のバイアスの破壊」が必要となります。だからこそ、ミドルのビジョンには、モックアップ、現場の顧客の生の声などの机上の空論ではない「共感を呼ぶ具体的な表現」が必要となるのです。
(7)組織の意思決定の獲得
ここからは使う言葉、表現内容がビジネスのそれになります。収益性の高さによる納得感の醸成、実現性の高さによる動機付け、競争優位性による動機付け、他部署の協力意義の明確化による納得感の醸成が図られます。
(8)創造を継続するための組織変革
組織自体がこの取り組みを継続していけるようになるために、組織自体の作り変えがここではかられます。成果の創出による動機付け、チャレンジ・失敗を許容する文化の醸成などがここで取り組まれます。



