不確実性が増す現代ビジネスにおいて、経営管理・経営企画部門は「数値の集計係」や「予算の番人」という役割を超えることが求められています。テクノロジーとAIを武器に、定型業務を極小化し、経営の意思決定を支える戦略セクターへと変わる転換点を迎えています。先進企業の実践知をもとに、「組織を動かす納得解の作り方」や「日本版FP&A」の構築ステップから、散在するデータをAI活用前提の基盤へ統合するIT・システム変革のロードマップまでをお届けします。経営管理の進化が企業変革を牽引する——その最前線のヒントがここにあります。
注目記事
経営企画の仕事が楽しくなる進化の方法──単なる集計屋を抜け出し、経営陣と同じ景色を見る面白さとは?
企業の中枢に位置しながらも、実態が見えにくい謎の部署。経営企画部門は他部署の担当者からそう思われているのではないでしょうか。経営企画部門に所属する当事者の中にも、真の役割を理解できている人はそれほど多くありません。本連載では、大企業の経営企画部門で経験を積み、現在はディグルでバックオフィスを統括する冨田貴大氏が、実務に役立つ経営企画の基本を解説。最終回となる第七回では、日々の作業に追われる初任者が抱きがちな「結局、経営企画の仕事は何が楽しいのか」という疑問に、冨田氏が自らの経験を交えながら答えます。
事業モデル変革と営業利益1,000億円へのFP&Aの伴走──なぜNSSOLは本社財務部へ集約したのか
日本製鉄グループのIT中核企業として、日本のインフラを支える大規模システムを構築してきた日鉄ソリューションズ(以下、NSSOL)。同社は今、歴史的な転換期の真っ只中にある。東証の資本市場改革に伴う「資本コストや株価を意識した経営」の要請と、2030年に営業利益1,000億円レベル・ROE15%程度を目指す長期ビジョン「Social Value Producer with Digital」の発表──。この2つに対応するため、NSSOLはこれまでの人月ビジネス(受託開発)を中心とした労働集約型モデルから、生成AIや独自アセットを中核とする高収益な知識集約型ビジネスへの脱却を急ピッチで進めている。この壮大なビジネスモデル変革を、計数管理の側面から力強く牽引しているのが、2025年4月の組織統合を経て誕生した「FP&A(財務部・収益管理室)」だ。本インタビューでは、この計数管理面からの改革の舵取りを行う財務部長の三宅秀樹氏と、現場を統括する矢野晋也氏を迎え、FP&Aアドバイザーの池側千絵氏が組織立ち上げの真意、独自の育成戦略、そして2030年を見据えた財務戦略の全貌に迫った。
なぜ経営企画が新規事業を管掌すべきなのか──限界利益とROICの使い分け、経営者のマインドシェア獲得
不確実性が加速する現代のビジネス環境において、大企業の経営企画部門が担う役割は大きな変容を迫られている。従来の「管理会計の運用」や「既存事業の予実管理」といった“守り”の機能にとどまらず、突如として「前例のない新規事業の立ち上げやインキュベーション」の管掌を任されるケースが急増しているのだ。しかし、不確実性を極端に嫌う大企業の既存のモノサシ(評価軸)やガバナンスをそのまま適用してしまい、筋のよいプロジェクトを頓挫させてしまうケースは少なくない。経営企画はいかにして不確実性と向き合い、孤立しがちな新規事業担当者の「擁護者」となり、経営のロジック(予実・管理会計など)と仕組みに落とし込むという“攻め”の役割を担えるのか。メガベンチャーから大企業まで戦略立案とインキュベーションを主導してきたDriveForce 代表取締役社長の井上伸也氏に、経営企画が押さえるべき「新規事業立ち上げのお作法」と「管理会計・資本コスト」を活用した実践的アプローチに迫った。
AIとデータサイエンスが解き放つ「アクセルを踏むFP&A」──多角化へ加速するMIXIの経営変革とは
日本におけるインターネット文化の黎明期を切り拓いたSNS「mixi」や、累計売上高1兆4,000億円超を誇る超大型ヒットタイトル「モンスターストライク」。MIXIは、単一のメガヒット事業に依存する構造から脱却し、スポーツやライフスタイルなど多角的な領域へと事業ポートフォリオを拡大する「第3の創業期」を迎えている。ビジネス構造が複雑化する中、経営の意思決定精度を高め、事業の成長を強力にドライブしているのが、2025年4月に新たに発足した「FP&Aインテリジェンス部(FP&AI)」だ。同部では、ログラスとの共同開発によるAIエージェントの導入や全社データプラットフォームの構築によって定型業務の約7割を削減。創出されたリソースを「12ヵ月先を見通すローリングフォーキャスト」や「攻めの意思決定支援」へと転換している。伝統的な製造業とは異なる、巨大な実物資産を持たない成長企業において、FP&Aはいかにして事業のパートナーとなり、資本効率と成長の両立を実現するのか。同社の財務・経営戦略を統括するCFOの島村恒平氏、FP&Aインテリジェンス部を率いる照井英人氏、データサイエンス推進を担う関野直博氏の3氏に、FP&Aアドバイザーの池側千絵氏が迫った。
中外製薬が挑む、R&Dの成果最大化に貢献する「進化版FP&A」──長期大型投資の意思決定の秘訣とは
革新的な医薬品の創出に取り組み、高い収益性を維持しながら成長を続ける中外製薬。売上収益1兆2,579億円、営業利益6,232億円、営業利益率49.5%という圧倒的な財務パフォーマンスを誇り、グローバルな時価総額ランキングでも独自の存在感を放っている。しかし、革新的な医薬品ビジネスの裏側には、多額の投資と長い研究開発の歳月、高い不確実性が常に付きまとう。同社はこのリスクをいかにマネジメントし、高度な経営資源配分を実現しているのか。その中核を担うのが、独自のFP&A(財務計画・分析)機能であり、事業部門の羅針盤として機能する「ファイナンス・ビジネスパートナー(FNBP)」体制だ。伝統的な経理の枠を超え、ときにはプロジェクト責任者と緊張感のある議論を重ねながらプロジェクトの命運をともにする「R&D(研究開発)ファイナンス」の実態について、最高財務責任者(CFO)の谷口岩昭氏、財務経理部の滑川麻美氏、R&D統括FNBPの板倉正尚氏の3氏に、FP&Aアドバイザーの池側千絵氏がインタビューし、その変革の全貌に迫った。
学術知見を武器に前例のない新規事業を成功させる──論文ニュース「有用性と厳密性のジレンマ」
新規事業の立ち上げや組織変革において、「他社事例の踏襲」や「過去の経験則」だけで突き進むことに限界を感じていませんか? 前例のない領域へ踏み出すリーダーにとって、ブレない意思決定の拠り所となる「確かな根拠(エビデンス)」の確保は急務です。本連載では、経営学者・やさしいビジネススクール学長の中川功一氏が、世界最先端の経営学の論文を初学者にもわかりやすく解説しつつ、「現場で使える学術エビデンス」まで落とし込んで紹介します。初回は、経営学における「実務への役立ち(有用性)」と「データの正しさ(厳密性)」のジレンマを扱った最新論文をピックアップ。「他社事例がない」という理由で提案を却下された経験のある方にこそ、読んでほしいテーマです。経験や勘だけに頼らず、学術知見を「武器」にしてプロジェクトを力強く前進させる方法を紐解きます。
日本の経理・経営企画を再定義する──『FP&Aの教科書』が提示する企業価値創造とは
欧米の先進企業において、CFO配下で経営層や事業責任者の意思決定を支える専門職「FP&A(Financial Planning & Analysis)」。日本でもジョブ型雇用の移行などを背景に、FP&A組織を立ち上げる企業が急速に増えている。しかし、管理会計機能が経営企画や経理財務など複数部門に分散してきた日本企業にとって、いかに自社に最適化し人材を育成するかは共通の課題だ。こうした状況下で上梓されたのが『分析力と提案力で企業価値を高める FP&Aの教科書』(税務経理協会)である。今回は編著者である日本大学の藤野雅史教授(管理会計研究)と池側千絵氏を迎え、日本企業特有の組織構造を踏まえた「日本版FP&A」の真意と人材育成のあり方に、Biz/Zine編集部の栗原茂が聞いた。
なぜAI時代のFP&A組織に「US-CMA(米国公認管理会計士)」が必須なのか。IMA名誉会長に聞く
ビジネスのあらゆる領域にAIの波が押し寄せる現代、財務・経理や管理会計のプロフェッショナルはどのような価値を提供すべきなのか。データの収集や分析が自動化される一方で、組織の意思決定を支え、未来の価値を創造する「FP&A(Financial Planning&Analysis:財務計画・分析)」の重要性はかつてないほど高まっている。今回お話を伺ったのは、世界約150ヵ国以上に12万5,000人以上の会員を持つグローバルな管理会計士組織、IMA(米国管理会計士協会)のトップを務めるピーター・J・ドーラン氏だ。ドーラン氏は40年近くにおよぶ公認会計士・税務パートナーとしてのキャリアを持つ、真のグローバルプロフェッショナルである。AI時代に財務人材が「代替不可能な存在」であり続けるための条件とは何か。そして、グローバルで取得者が急増し、2025年6月より日本語での受験も開始された「US-CMA(米国公認管理会計士)」資格がもたらすキャリア上の優位性とは。
なぜ花王の経理パーソンは事業参謀になれるのか──FP&A機能の再定義、タフアサインメントでの人材育成
日本における「管理会計の祖」として、独自の洗練された事業管理体制を維持し続けてきた花王株式会社。同社の最大の特徴は、一般的な日本企業に存在する「経営企画」へ数字の取りまとめを委ねず、古くから経理の専門職採用を一貫して30年以上継続してきた独自の組織形態にある。伝統的な「過去の数字を正確に集計する経理」の枠を超え、意思決定の現場に深く入り込む同社の管理会計組織は、2024年度にその役割を「FP&A(Financial Planning&Analysis)」へと完全に再定義した。単なるコスト管理や計算実務にとどまらず、ときには事業部門長と対峙し、ときには最先端のデジタル基盤を駆使して未来の利益をナビゲートする花王のFP&A。変化の激しいグローバル市場を勝ち抜くために、彼らはいかにして事業のパートナーとなり、全体最適な意思決定を支えているのか。同社の会計財務部門を牽引する峯岸佳雅氏と瀬戸口亮介氏の歩みから、日本企業が目指すべき「本物のFP&A人材」の育成術とその実像に、池側千絵氏が迫った。
NECの最高益を支えた、FP&Aによる短期と長期利益のジレンマ克服──経営可視化と人材育成の秘訣とは
日本電気(以下、NEC)は、2010年代の深刻な経営危機と徹底的な事業の選択と集中を経て、劇的な再成長を遂げている。直近の2025年度通期決算では過去最高益を記録。この巨大組織の舵取りと劇的な構造転換を裏側で支え、企業の再成長軌道を決定づけたのが、2023年に本格始動したFP&A(Financial Planning & Analysis)組織だ。伝統的に各事業部門が強力な権限を持ち、独自の計数管理(通称:事計)を行ってきた同社がいかにしてその壁を打破し、CFO直結の「横串」を通したのか。個別最適に陥りがちな「事業への愛着」を、いかにして企業価値の最大化という「全体最適」へと昇華させたのか。本インタビューでは、NECのFP&A部門を牽引する嘉田昌弘氏と岡田義朗氏を迎え、池側千絵氏が、同社のファイナンス組織が果たす「経営高度化」の実像と、AI・データドリブン時代の未来展望に迫った。























