不確実性が増す現代ビジネスにおいて、経営管理・経営企画部門は「数値の集計係」や「予算の番人」という役割を超えることが求められています。テクノロジーとAIを武器に、定型業務を極小化し、経営の意思決定を支える戦略セクターへと変わる転換点を迎えています。先進企業の実践知をもとに、「組織を動かす納得解の作り方」や「日本版FP&A」の構築ステップから、散在するデータをAI活用前提の基盤へ統合するIT・システム変革のロードマップまでをお届けします。経営管理の進化が企業変革を牽引する——その最前線のヒントがここにあります。
注目記事
中外製薬が挑む、R&Dの成果最大化に貢献する「進化版FP&A」──長期大型投資の意思決定の秘訣とは
革新的な医薬品の創出に取り組み、高い収益性を維持しながら成長を続ける中外製薬。売上収益1兆2,579億円、営業利益6,232億円、営業利益率49.5%という圧倒的な財務パフォーマンスを誇り、グローバルな時価総額ランキングでも独自の存在感を放っている。しかし、革新的な医薬品ビジネスの裏側には、多額の投資と長い研究開発の歳月、高い不確実性が常に付きまとう。同社はこのリスクをいかにマネジメントし、高度な経営資源配分を実現しているのか。その中核を担うのが、独自のFP&A(財務計画・分析)機能であり、事業部門の羅針盤として機能する「ファイナンス・ビジネスパートナー(FNBP)」体制だ。伝統的な経理の枠を超え、ときにはプロジェクト責任者と緊張感のある議論を重ねながらプロジェクトの命運をともにする「R&D(研究開発)ファイナンス」の実態について、最高財務責任者(CFO)の谷口岩昭氏、財務経理部の滑川麻美氏、R&D統括FNBPの板倉正尚氏の3氏に、FP&Aアドバイザーの池側千絵氏がインタビューし、その変革の全貌に迫った。
学術知見を武器に前例のない新規事業を成功させる──論文ニュース「有用性と厳密性のジレンマ」
新規事業の立ち上げや組織変革において、「他社事例の踏襲」や「過去の経験則」だけで突き進むことに限界を感じていませんか? 前例のない領域へ踏み出すリーダーにとって、ブレない意思決定の拠り所となる「確かな根拠(エビデンス)」の確保は急務です。本連載では、経営学者・やさしいビジネススクール学長の中川功一氏が、世界最先端の経営学の論文を初学者にもわかりやすく解説しつつ、「現場で使える学術エビデンス」まで落とし込んで紹介します。初回は、経営学における「実務への役立ち(有用性)」と「データの正しさ(厳密性)」のジレンマを扱った最新論文をピックアップ。「他社事例がない」という理由で提案を却下された経験のある方にこそ、読んでほしいテーマです。経験や勘だけに頼らず、学術知見を「武器」にしてプロジェクトを力強く前進させる方法を紐解きます。
日本の経理・経営企画を再定義する──『FP&Aの教科書』が提示する企業価値創造とは
欧米の先進企業において、CFO配下で経営層や事業責任者の意思決定を支える専門職「FP&A(Financial Planning & Analysis)」。日本でもジョブ型雇用の移行などを背景に、FP&A組織を立ち上げる企業が急速に増えている。しかし、管理会計機能が経営企画や経理財務など複数部門に分散してきた日本企業にとって、いかに自社に最適化し人材を育成するかは共通の課題だ。こうした状況下で上梓されたのが『分析力と提案力で企業価値を高める FP&Aの教科書』(税務経理協会)である。今回は編著者である日本大学の藤野雅史教授(管理会計研究)と池側千絵氏を迎え、日本企業特有の組織構造を踏まえた「日本版FP&A」の真意と人材育成のあり方に、Biz/Zine編集部の栗原茂が聞いた。
なぜAI時代のFP&A組織に「US-CMA(米国公認管理会計士)」が必須なのか。IMA名誉会長に聞く
ビジネスのあらゆる領域にAIの波が押し寄せる現代、財務・経理や管理会計のプロフェッショナルはどのような価値を提供すべきなのか。データの収集や分析が自動化される一方で、組織の意思決定を支え、未来の価値を創造する「FP&A(Financial Planning&Analysis:財務計画・分析)」の重要性はかつてないほど高まっている。今回お話を伺ったのは、世界約150ヵ国以上に12万5,000人以上の会員を持つグローバルな管理会計士組織、IMA(米国管理会計士協会)のトップを務めるピーター・J・ドーラン氏だ。ドーラン氏は40年近くにおよぶ公認会計士・税務パートナーとしてのキャリアを持つ、真のグローバルプロフェッショナルである。AI時代に財務人材が「代替不可能な存在」であり続けるための条件とは何か。そして、グローバルで取得者が急増し、2025年6月より日本語での受験も開始された「US-CMA(米国公認管理会計士)」資格がもたらすキャリア上の優位性とは。
なぜ花王の経理パーソンは事業参謀になれるのか──FP&A機能の再定義、タフアサインメントでの人材育成
日本における「管理会計の祖」として、独自の洗練された事業管理体制を維持し続けてきた花王株式会社。同社の最大の特徴は、一般的な日本企業に存在する「経営企画」へ数字の取りまとめを委ねず、古くから経理の専門職採用を一貫して30年以上継続してきた独自の組織形態にある。伝統的な「過去の数字を正確に集計する経理」の枠を超え、意思決定の現場に深く入り込む同社の管理会計組織は、2024年度にその役割を「FP&A(Financial Planning&Analysis)」へと完全に再定義した。単なるコスト管理や計算実務にとどまらず、ときには事業部門長と対峙し、ときには最先端のデジタル基盤を駆使して未来の利益をナビゲートする花王のFP&A。変化の激しいグローバル市場を勝ち抜くために、彼らはいかにして事業のパートナーとなり、全体最適な意思決定を支えているのか。同社の会計財務部門を牽引する峯岸佳雅氏と瀬戸口亮介氏の歩みから、日本企業が目指すべき「本物のFP&A人材」の育成術とその実像に、池側千絵氏が迫った。
NECの最高益を支えた、FP&Aによる短期と長期利益のジレンマ克服──経営可視化と人材育成の秘訣とは
日本電気(以下、NEC)は、2010年代の深刻な経営危機と徹底的な事業の選択と集中を経て、劇的な再成長を遂げている。直近の2025年度通期決算では過去最高益を記録。この巨大組織の舵取りと劇的な構造転換を裏側で支え、企業の再成長軌道を決定づけたのが、2023年に本格始動したFP&A(Financial Planning & Analysis)組織だ。伝統的に各事業部門が強力な権限を持ち、独自の計数管理(通称:事計)を行ってきた同社がいかにしてその壁を打破し、CFO直結の「横串」を通したのか。個別最適に陥りがちな「事業への愛着」を、いかにして企業価値の最大化という「全体最適」へと昇華させたのか。本インタビューでは、NECのFP&A部門を牽引する嘉田昌弘氏と岡田義朗氏を迎え、池側千絵氏が、同社のファイナンス組織が果たす「経営高度化」の実像と、AI・データドリブン時代の未来展望に迫った。
住友化学やBCG出身の植西氏が語るAI時代の経営企画 組織を動かす「納得解」を作るオーケストレーター
企業の「経営企画」や「経営管理」は、事業開発や営業のように定型化された枠組みが分かりにくく、組織によってその役割も千差万別である。特に近年、多くのSaaSツールの乱立による情報の散在や、AIの急速な進化によって、これまでのコーポレート部門のあり方は大きな転換期を迎えている。これからの大企業における経営企画の役割とは何なのか。そして、AI時代において真に価値を発揮するバックオフィス組織、リーダーシップの姿とは。住友化学での経営企画を原点に、監査法人、ボストン・コンサルティング・グループ、スタートアップCFOを経て、現在は数多くの企業のバックオフィス支援・AI導入を行う植西祐介氏に、Biz/Zine編集部コンテンツプロデューサーの栗原茂が迫った。
SOMPOグループの“海外仕込み”のFP&A──経営危機を発端に「経営の司令塔」として変革を支援する
日本を代表する巨大金融グループ、SOMPO。現在では介護やウェルビーイング、さらにはライザップとの提携など、保険の枠を超えた「“安心・安全・健康”であふれる未来へ」というパーパスの実現に向けて変貌を遂げようとしている。この壮大な事業ポートフォリオ変革を支え、グループ全体の資本効率を最大化させるために不可欠なのが、FP&A(Financial Planning & Analysis)という機能だ。同社は2016年のエンデュランス社(現・SOMPOインターナショナルホールディングス、以下SIH)買収を機に、欧米流の高度な経営管理手法を輸入。国内損保特有の商習慣や不祥事という逆風を乗り越え、経営企画を「過去をまとめる集計屋」から「未来を創る経営のパートナー」へと作り変えてきた。本稿では、同社の変革を牽引する広瀬杏太郎氏と藤谷直弘氏に、FP&Aアドバイザーの池側千絵氏がインタビューし、その真髄に迫った。
旭化成のFP&Aが導く事業ポートフォリオ変革──CFO傘下の経営企画と経理財務によるグループ事業管理
日本を代表する総合化学メーカー、旭化成。1922年の創業から100年を超える歴史の中で、同社は繊維やケミカルから住宅、ヘルスケアへと、時代に合わせてその姿をダイナミックに変貌させてきた。現在、同社は「中期経営計画2027」に基づき、さらなる事業ポートフォリオ変革の真っ只中にある。この巨大組織の舵取りを支えているのが、同社で「事業管理」と呼ばれるFP&A(Financial Planning & Analysis)機能だ。伝統的な経理の枠を超え、時には事業の「撤退」という苦渋の決断をデータで裏付け、時には成長分野への「投資」をナビゲートする。旭化成のFP&Aはいかにして事業のパートナーとなり、経営の意思決定を支えているのか。同社の経理・財務、経営企画を牽引する3氏に、FP&Aアドバイザーの池側千絵氏がインタビューし、その実像に迫った。
メディアスHDが挑む、FP&A組織によるグループ経営管理──M&A成長後に伸び悩む、利益率への処方箋
激変する医療環境、そして厳しさを増す医療機関の経営。その最前線で、医療機器の安定供給という重責を担うのが、医療機器卸のメディアスホールディングス(以下、メディアスHD)だ。同社は積極的なM&Aによって売上規模を急速に拡大させてきた。2026年6月期中間決算では、中間期の売上高1,492億円を達成し、グループ全体で16社、従業員数は約3,500名を超える組織へと成長を遂げた東証プライム上場企業である。しかし、一方で「売上の伸びに利益が追いつかない」という課題に直面していた。この課題を打破するために同社が選んだ武器がFP&A組織の構築だ。ファイナンスとビジネスの両輪を理解する「人材の育成」に主眼を置く同社の真髄について、取締役の芥川浩之氏と、実務を牽引する山本太郎氏に、FP&Aアドバイザーの池側千絵氏が迫った。























