イノベーションを担う人材の理解と組織文化
どうやってイノベーションを起こすのか――。その答えは多くの起業家や研究者によって探求されている。イノベーションの成功事例が100あれば、100通りのプロセスがあるだろう。
第1部に登壇したリクルートマネジメントソリューションズの井上氏は、イノベーション事例の研究・実践の過程で、イノベーションの井上氏流の定義、イノベーションを担う人材に共通する特徴をつかんだという。
「イノベーションとは何か」の“シンプル”な定義
講演冒頭、井上氏は自身で開催する企業向けのイノベーション・ワークショップの内容を紹介した。
現在は当たり前に存在し、20年前には無かったものをいくつか頭に思い浮かべてください。何が思い浮かびますか?
身近な例ではスマートフォンやタブレット端末、ビジネスではクラウド・コンピューティングや3Dプリンター、といったところでしょうか。ご当地キャラクターの「くまモン」も、まだ登場していなかったですよね。
ワークショップで20年前には存在していなかったものをと聞くと、これ以外にも多くのものが出てきます。共通しているのは、「大きな市場価値」を生みだしているということです。「くまモン」は約1200億円の経済効果を生み出したという試算もあるほどです。
「イノベーション」という捉えどころのないものの実態を掴むために、これほどわかりやすいものもないだろう。以前はその概念すらなく、現在の生活では当たり前になったもの。つまり、「以前は存在がなかったが、現在は大きな市場価値を生み出したものがイノベーション」という定義は非常にシンプルだ。
当然ながら、20年前には存在しなかったイノベーティブな製品・サービスには、その開発を担った人間が必ずいる。どんな人材がその役割を担うのだろうか?