この調査は、経済産業省から受託事業としてDTCが開発した「企業のイノベーションマネジメント力を評価する標準的な評価フレームワーク(イノベーションマネジメントフレームワーク)」に基づき実施したものだという。
このフレームワークは、既存事業の経営とは異なる不確実性に基づき「実験と学習の反復」を前提とした経営(イノベーションマネジメント)に対する社会的気運を盛り上げるとともに、企業経営者に自社のイノベーションマネジメントの自己評価、またはベンチマークとして他社との比較を通じて、経営改善・改革の動機づけに繋げることを目的として開発したとしている。
調査は日本の上場企業のうち、株式時価総額50億円以上(2015年8月時点)の計2,838社を対象に2015年10月より2016年1月まで、郵送およびWebにより調査し、236社より有効回答を得た。
イノベーションマネジメント調査結果のサマリーは次のとおり。
1. イノベーションマネジメントの取組みを進める上位企業が存在するものの、改革の余地はまだ大きい
- 回答企業の約4分の1が総合スコア平均で標準(2.0)以上となり、取組み上位企業と認識できる
- 日本企業は大きく5つの取組みパターンに分けられる。トップの掛け声が効く取組みが先行して組織・制度の仕組みが伴わない「掛け声先行型」と、取組み方針が見えにくい「場当たり型」が合わせて7割強を占める
2. 取組み上位企業の成長性は、上場企業平均を大きく超過
- 取組み上位企業の売上高成長率平均(CAGR10.1%)は上場企業平均(同6.2%)を大きく上回り、各項目を有機的につなげる「メカニズム化」を進めることは成果と直結する可能性がある
3. イノベーションマネジメントの取組み上位企業は資本市場から高評価
- 取組み上位企業は下位企業に比べ、時価総額の伸びが上回っており、資本市場から高い評価を得ている
- イノベーションマネジメントの取組みは、資本市場との“対話”における共通言語として、積極的に開示することが企業価値向上につながる可能性がある
なお、ニュースリリース、および「イノベーションマネジメント実態調査 2016」は、Webサイトで閲覧できる。