イノベーティブな小国エストニアのデジタル政府を支える4つの柱
「エストニア」という国名を聞いて、何を思い浮かべるだろうか? 1991年のソビエト連邦崩壊とともに独立したエストニアは、過去25年間で急速なデジタル化を遂げた。人口は東京都の十分の一ほどで約130万人、ヨーロッパの中でも人口一人あたりのベンチャー企業の数が一番多い。そんなエストニアの「デジタル化」が成功した例のひとつに、エストニア人によって開発・共同創業され、最終的にマイクロソフトに買収されたSkypeがある。
ターヴィ氏はエストニアのデジタル政府を支える4つの柱である「主権と国家安全保障」「良いビジネス環境の整備」「技術インフラ、スキルの開発」「政府によるデジタル革命の推進」について語った。
まず1つ目の柱として挙げられたのが「主権と国家安全保障」。経済が大きく変化を遂げようとも、国家の抜本的な要素である「主権と国家安全保障」は普遍的なものだ。世界で国際法を軽視する動きがある中で、ターヴィ氏はこう語る。
ウクライナ及びシリアの紛争は続いており、人の移動とテロ行為によって状況は悪化しています。21世紀に世界が直面する問題は、すぐにやってきてすぐに去るわけではなく、長く続くものです。政府はその危機的状況に対処していかなければいけません。
エストニアでは最短20分で会社を登記できる
2つ目の柱として挙げられたのが「良いビジネス環境の整備」。特徴的なのはその税制度だ。エストニアでは法人税は一律20パーセントであり、国際税制財団によれば「OECD諸国の中で最も競争力のある税制を持つ国」とされている。
良いビジネス環境の整備は税制だけではない。「エストニアの価値観で重視されているのは、約束や時間を守ること」とターヴィ氏は語り、日本との意外な共通項を指摘した。そしてエストニアの「デジタル化」の一例として、会社の設立がいかに容易かについて語った。
エストニアでは会社をつくろうと思ったら最短で20分、長くても数時間のうちにオンライン登録のみで、会社を登記できます。税金申告も、銀行業務も、契約もすべてデジタル上で処理できてしまうのです。