成功する起業家の多くは“大企業出身”ではなく、“ベンチャー企業出身”という事実

起業家を目指す人のためのキャリア戦略論:第2回

 将来、経営人材として今の会社の経営に関わりたい、あるいは、自ら起業して仲間とともに自分たちのアイデアをビジネスとして実現したい。本連載では、そんな向上心を持った20代・30代の皆さんを対象に、どうしたら、経営人材・起業家人材になれるのか?どんな経験やキャリアが起業確率を高めることになるのか?についてお伝えできればと思います。

[公開日]

[著] 伊藤 豊

[タグ] スタートアップ タレントマネジメント ベンチャー ワークスタイル 企業戦略

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大企業からの起業・ベンチャー転職が難しい理由

 前回、新卒採用における「まずは大企業に行っておけ」というアドバイスが起業家経済の発展を阻害していると指摘しました。

 就職活動中の学生たちは、大企業にいる人(主に若手のリクルーターでしょうか)から「大企業は新卒のときにしか入れないが、ベンチャーは大企業からならいつでも行ける。逆に、ベンチャーに新卒で入ると、大企業には来られないよ。だから大企業にまず来るべし」と聞かされるにつれ、妙に納得してまずは大企業に行こうと思う人が多いのです。

 しかし、新卒で大企業に行ってしまうと、その後、起業やベンチャーへの転職が難しいのが実態です。大企業にいながら「大企業からベンチャーはいつでも簡単に行ける」と豪語する人がいたら、是非このように質問してみましょう。「では、なぜあなたはベンチャーに行かないのですか?いつ行くのですか?」と。おそらく、今行かない理由をすらすらと述べてくれることでしょう。「そんなに行かない理由がたくさんあるってことは、行くのは難しいということじゃないですか?」と指摘して喧嘩にならないように気をつけましょう。

 大企業にいる人が、ベンチャーに行かない(ましてや起業しない)理由は以下のようなものがあります。

1) そもそもベンチャーに対する情報がなく、良くわからない

 大企業にいるとスタートアップやベンチャーの情報に触れる機会はほぼなく(部署や会社にもよりますが)、コミュニティがほぼ分断されているため、ベンチャーの目利き・判断ができない人がほとんどです。地図とコンパスもないまま冒険しようとは思わないということです。

2) 転職を支援する人材紹介会社もベンチャー企業を知らない会社が殆ど

 転職相談に行って、「ベンチャーに行きたい」と言うと、楽天やDeNAやリクルートグループを紹介されます。もっと小さいベンチャーを知りたいとリクエストしても、そのエージェント自身が詳しくないし、人材紹介会社としても、大きなロット(人数枠)で採用してくれる大口顧客に注力する傾向にあるため、採用数が少なくかつハードルも高くストライクゾーンの狭い小規模ベンチャーは人材紹介会社のクライアントになりにくいのです。

3) 家族からの反対

 男性の場合を例にしますが、結婚して配偶者の女性から反対される“嫁ブロック”は多く見聞きします。「大丈夫。彼女は結婚前からいつか起業を目指す自分を応援してくれている」という男性も、「ダメでした。嫁は大丈夫なのですが、嫁の父親が猛反対しています」といういわゆる“嫁親ブロック”は、盲点になりがちですが頻発します。

4) 大企業での給与を実力と勘違いし、生活レベルも下げられない

 給与が大企業プレミアムで上がっているのに、実力・市場価値だと勘違いして生活水準を上げてしまっていて、給与が下がることを許容できない。

 一方で、ベンチャー側の視点でも、大企業出身者を採用しにくい理由があります。希望給与が実力以上に高いという点も大きいですが、伝統的な大企業で5年以上経験している方だと、働き方・仕事の進め方・スピード感などがベンチャー側とかい離している可能性が高く、非IT領域の大手にいる人だと特に、ソーシャルメディアをはじめとするネット・アプリなどのデジタルリテラシーも低く、ベンチャー側で仕事をするには厳しいレベルだと判断されることも多く見受けられます。

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