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これからの財務・会計部門が知るべきトレジャリー・マネジメントとは。キリバ桑野社長に聞く

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日本企業も2000年代以降、ERPの導入が進み、経理・会計の合理化は進んだ。しかしグローバル経営に必要な戦略的財務はまだまだ遅れている。そう語るのは、財務ソリューション提供企業キリバ・ジャパンのキリバ・ジャパンの桑野祐一郎社長。同社の提唱する「トレジャリー・マネジメント」について聞いた。

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日本企業が手つかずのトレジャリー・マネジメント

キリバ・ジャパン株式会社 代表取締役社長 桑野祐一郎

キリバの提供するサービスは、一口に言えば財務管理なのですが、一般的に言われているキャッシュマネジメンとは、トレジャリーマネジメントの一部となります。

事業法人の財務管理は、アカウンティング(経理)とトレジャリー(財務)の2種類がある。アカウンティングの分野で言えば、ITによる効率化は2000年代以降に大きく進んだ。SAP、オラクル、マイクロソフトなどの大手企業がしのぎを削り、ERP(統合機関業務)といわれるソリューションを提供した。当初は日本企業に合わないとか、ROI(投資対効果)が見えないなどの声もあったが、今ではERPはすっかり定着している。しかし、一方のトレジャリーの領域は日本企業は、まだまだ手つかずだ。しかし特にグローバル展開をする日本企業にとっては、このトレジャリー・マネジメントを怠ると競争に生き残れないと桑野社長は言う。

ERPなどの会計のソリューションは、会社の業務の中の今までの数字をとりまとめるというものです。これに対して、財務の領域のソリューションは、お金をどこに投下していくとか、どう有効活用していくか、将来に渡るリスク管理をどうマネジメントしていくか、といったような「将来」のお金の話。この2つは全く違うのです。車の運転に例えるなら、経理システムは走ってきた道の情報を見るためのバックミラー、財務システムは、これから走る道を映し出すフロントガラスです。

車を遠くまで安全に走らせるためには、前方の視界を見渡すこと、ガソリン(資金)の残量を把握し、燃焼効率を最大化すること。それが、トレジャリー・マネジメントなのだという。

財務部門を管理部門から戦略部門へ

多くの日本企業の場合、財務は管理部門である経理の業務とみなされている。会計ではERPが入ったものの財務の領域では、手作業やExcelの作業をおこなっているのが実情だと桑野社長は言う。

財務部門を管理部門から戦略部門に変革することがわれわれのミッションです。そのためにクラウドコンピューティングによって自動化、効率化をおこない、将来に渡る資金繰りの可視化や予測、分析、最適化、意思決定をおこなうサービスを提供していくのです。

トレジャリー・マネジメントの目的は、大きくは2つあると言う。ひとつは「資金効率の最大化」、もうひとつは「財務リスクの極小化」だ。

「資金効率の最大化」は、グローバルレベルで資金を最大限に有効活用して、遍在をなくして、外部調達を低くしていくことだ。
たとえば、海外への進出や海外生産を積極的に展開する企業の場合、「資金の偏在」という課題が生じる。国内での生産・販売や、中国で生産し日本で売るという場合の資金は足りていても、欧米での各国での出店費用が膨らんでくると、各国での資金の需要に応えられなくなるケースだ。国内で潤沢な資金があっても、海外現地で資金が必要となった時に、財布がバラバラになっていて対応できなくなる。

各地域で財布がばらばらになると、資金の偏在が生じます。例えば欧州とアメリカでお金が足りない場合、日本国内にはお金があるのにそれを回せないという事態が生じる。そうなると、それぞれの国で借り入れが生じます。トレジャリー・マネジメントでひとつに管理していれば、お金をもっと有効に活用していくことができるのです。

もうひとつの「財務リスクの極小化」というのは、為替とか金利の問題だ。最近のイギリスのEU離脱で生じたような激しい為替の変動は、外貨の決済が伴うビジネスにとっては大きなリスクだ。しかも、各国の政情不安、金融、不正のリスクはますます増大している。こうした様々なリスクを勘案して、業継続性を担保し、かじ取りを行っていかないといけないにもかかわらず、日本の企業のリスクへの構えはまだまだ弱い。

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BizZine編集部(ビズジンヘンシュウブ)

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